身近な草花で生け花を 500年の歴史を概観 小原流華道家・中山真知子さん講演
南ジャカルタの国際交流基金ジャカルタ日本文化センターで7日、小原流華道家中山真知子さんの著書「いけばな500年」の出版記念講演が開かれ、中山さんが実演しながら生け花の魅力を説明した。
同書は生け花の文化的背景について、花伝書の絵図などを用いて説明しており、中山さんの1作目の著書「いけばなの起源」に続く2作目にあたる。現在3作目の「樹木信仰といけばな」を執筆中という。
講演会では「日本の生け花とは何か」を分かりやすく伝えるため、流派には特化せず、生け花そのものの歴史や意味について説明。床の間と生け花の関係や、花や花器、空間が表す意味について論じた。
講演会後は中山さんが生け花を実演。下準備や生け方、生けた後の諸注意をしながら、来場者の前で花を生けた。使用する花は全て身近にあるものを使うと話し、「準備した花も滞在中のホテルの庭に咲いていたもの」と来場者を笑わせ、「身近に咲いている草花で誰でも手軽に花を生けることができる」と語った。
希望者はその場で生け花を体験することもでき、中山さんから評価や手直しを受けた。体験したアントニウス・タリガンさん(46)はジャカルタの小原流生け花教室に通い始めて3カ月。中山さんや来場者が見守る中、首を捻りながら丁寧に花を生け、「生け花は難しいが、奥が深く面白い」と話した。
中山さんは東京の中学校で美術講師を務めた後、現在までの26年間、東南アジアを中心とする海外で日本の生け花文化を広める講演会などを行っている。著書は英語で書かれ、アジアやヨーロッパなど海外の学校や図書館などを中心に置かれている。(高越咲希、写真も)