燃料値上げも 補助金減らず 来年予算、ルピア安で 今年比で5.4%増に
国会予算委員会は25日、審議中の2014年国家予算案で燃料補助金への割当を今年より約5.4%増の210兆7400億ルピアで承認した。6月に燃料価格を値上げし、補助金を大幅に削減したにもかかわらず増加したのは、ルピア安で燃料の輸入コストが膨らんでいることが主因。国家財政が為替や原油国際価格に左右される構造の早期是正とともに、これまで以上に国内の燃料消費を抑制する取り組みが求められる。地元メディアが報じた。
燃料補助金は国家予算の10%ほどを占め、財政負担の原因となってきたため、補助金削減による燃料値上げがスハルト時代からの懸案になっている。ユドヨノ政権は6月、ほぼ5年ぶりに補助金付き燃料のレギュラーガソリンを44.4%、軽油を22.2%値上げした。
しかし、予算委が承認した来年の燃料補助金は当初の政府案よりも7.6%ほど増加。これはルピアの為替レートを対ドルで政府案の9750から1万500ルピアに大幅に修正したためだ。インドネシアは石油の純輸入国のためルピア安が進めばその分燃料補助金支出額が増えることになる。
補助金付き燃料の割当量は、政府案の5050万キロリットルから4800万キロリットルに下方修正したが、為替レートの修正がそれを上回った。
大蔵省財政政策センターのバンバン・ブロジョネゴロ所長は「燃料補助金はルピアや原油価格に影響される」として最終的な支出額は不透明だとの認識を示した。さらにルピア安が進めば、補助金対象外で、価格が為替レートに左右される高級ガソリン「プルタマックス」の利用者が補助金付きに流れて、さらに支出が増える可能性があると指摘する。
予算委のリスキ・サディグ議員(国民信託党=PAN)は燃料補助金の安定のため、1リットルあたりの補助額を固定し、燃料価格を変動制にすべきと主張。変動制にすれば消費者に価格転嫁され、燃料補助金支出に影響しなくなる。以前、ハティブ・バスリ蔵相からも同様の案が出ていたという。
財政負担を軽減するための補助金削減は急務だが、来年は総選挙があり、政府が消費者の負担を増やす政策を取るのは困難とみられている。