包括的発展と弾力性を シンポジウムを開催 イ外務省とERIAなど 今月、ASEAN首脳に提言
今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のインドネシア外務省と東アジアASEAN経済研究センター(ERIA)、米ハーバード大が共催し、経済分野を中心にASEAN共同体が設立される二〇一五年までとその後の課題と展望を話し合うシンポジウムが三十一、一の両日、中央ジャカルタのホテル・ル・メリディアンで開かれた。シンポジウムの内容は「ジャカルタ・フレームワーク」としてまとめられ、今月十七日にバリで開かれるASEAN首脳会議(サミット)に報告される。
二日間のシンポジウムにはASEANのスリン・ピッツワン事務局長、ERIAの西村英俊事務総長、外務省のジャウハリ・オラトマングンASEAN協力総局長、同省のジョセ・タファレスASEAN対話国・地域内協力局長、デウィ・フォルトゥナ・アンワル副大統領補佐官らインドネシア政府や国際機関、学会の関係者が出席した。
ASEANでは安定した経済成長、貧困層の減少と中間層の拡大、FTA(自由貿易協定)網の構築などで明るい展望がある一方、地域間格差やエネルギー・食料需要の増大による国家間競争の激化、自然災害の多発などの課題があると提議された。
スリン事務局長は、ASEANを中心とした枠組みの中で南シナ海問題やタイとカンボジアの国境紛争、北朝鮮問題への対処が行われるようになっていることから、政治安保面でもASEANの重要性が増していると説明。
大陸と島しょ部に分かれている域内の連結性(コネクティビティ)を高めることを課題に上げ、「(域内の)六億人を一つの市場にし、中間層をより拡大していかなければならない」と訴えた。
西村事務総長は「ASEANは北東アジアからインドへと続く『成長回廊』の中心にある」と強調。一五年の共同体設立以後も地域が競争力と活力を持つため、域内の包括的で平等な発展を目指すとともに、「食料・エネルギー問題や自然災害など多様な衝撃に耐え得る弾力性」を強化することが重要との見解をジャカルタ・フレームワークに盛り込んだと説明した。
ASEAN関連首脳会議は今月中旬からバリで開催。十七日にはASEAN首脳会議が行われ、十九日には日中韓などに加えて今年から初めて米露が参加し、政治安全保障問題が話し合われる東アジアサミット(EAS)が開催される。