「地方への展開を」 BKPMの山崎さん
2010年度のジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)理事長を務めた山崎紀雄さん(62)が投資調整庁(BKPM)の投資政策促進アドバイザーに就任した。
商社の現地法人代表として、2006年にジャカルタに赴任。JJCでは、副理事長時代の10年1月、第2期ユドヨノ政権の発足に合わせ、インドネシア政府に対し、政策提言書を提出するなど、投資環境改善に奔走。関連会社を経て13年まで駐在した後、一旦帰国し、国際協力機構(JICA)からBKPMに派遣された9代目の専門家として8月に着任した。
04年から10年間にわたるユドヨノ政権の任期の大半と重なり、立場は民から官へと変わったが、「日系企業の進出や活動のお手伝いが任務のため、仕事そのものはつながっているところはたくさんある。(野球に例えるなら)1回から9回まで終えた後、延長戦に参加しているという意味で、臨場感があって恵まれた立場にあると感じている」と話す。
現在の投資環境を見た場合、2007年に新投資法が施行され、今年5月には同法を補足する長官令2013年第5号が出たが、依然として不明瞭な部分もあると指摘する。投資の許可申請では、オンラインによる効率化が進み、BKPMに一元化するワンドアサービスを進めているが、縦割り行政の弊害や他省庁、地方自治体との連携の点で課題が残っているという。
依然として進まない課題がある一方、遅々としながら動いている部分もあり、
「7年いるとインドネシアに染まってしまったのかもしれないが、どちら側から見るかの話であって、『全然変わってない』と見るか、『少しでもあるけど動き出している』と評価するのと両方を見ないといけない」と説く。
来年の選挙に向け、政治の影響度も増しており、内向きな保護主義の動きも気掛かりだが、近年、日本企業もまれに見る進出ラッシュが続き、首都圏だけでなく地方への進出を考える企業も増えてきた。「ジャカルタ東方の工業団地のみならず、スラバヤや中部ジャワ、スラウェシなど地方への展開が重点目標になってくる」「大企業に加え、中堅・小規模の企業が出てきやすい投資環境になるようお手伝いしたい」と今後の活動を見据えている。(上野太郎、写真も)