人民元調達枠を倍増 中銀 対中貿易促進図る 来月初旬に合意目指す
インドネシア中銀は中国人民銀行(中国中銀)と、二国間の輸出入を円滑にするために当該国の通貨を融通し合う二国間通貨スワップ協定の限度額を現在の千億元(約1兆6200億円)から倍増させる方向で交渉を進めていることが分かった。ルピア安の進行によるドル決済での輸入コスト増を防ぐのが主な狙い。地元紙が報じた。
ドル以外の自国通貨で二国間通貨スワップ協定を結ぶと協定国同士が輸出入決済の際、ドルを調達する必要がなくなるため、効率的な貿易体制をつくることができるメリットがある。
8月30日付のビスニス・インドネシア電子版は、中銀のティルタ・セガラ国際部長は人民銀行との交渉は最終段階にあり、倍増させる方向で来月初旬にまとめるとしている。ティルタ部長は13日、じゃかるた新聞に対し、交渉は続いていると話した。
中央統計局(BPS)がまとめた1〜7月の貿易統計によると、非石油・ガス部門インドネシアの対中輸出額は117億7580万ドルで、全体の13・45%を占める。同期の輸入は174億3930万ドルで全体の20・38%としている。
国営のマンディリ銀行チーフエコノミストのデストリ・ダマヤンティ氏は今回の人民元調達限度額の引き上げについて、実現すれば国内の人民元の流動性を高め、中国との貿易関係を強化させるものとして評価している。
中国人民銀行は人民元による貿易圏の拡大を進めている。今年6月に英国イングランド銀行と期限3年、限度額2千億元(約3兆2400億円)、今月9日にハンガリー中央銀行と期限3年、限度額100億元(約1620億円)、12日にアルバニア中央銀行と期限3年、20億人民元(約324億円)の二国間通貨スワップ協定を締結するなど、人民元貿易圏の拡大を図っている。