UIで日本講座開講 鹿取大使「日イ関係を緊密に」 12月までリレー講義
西ジャワ州デポックのインドネシア大学(UI)は11日、日本の政治経済や文化について日イの産官学を代表する講師13人がリレー講義する日本講座を開講した。昨年に続き2回目。インドネシア人学生に日本に幅広い関心を持ってもらうのが狙いで、講師として鹿取克章駐インドネシア日本大使が「日本の外交政策、インドネシア二国間関係」の題で講演。学生に「日イ関係をより緊密にしていこう」と呼び掛けた。
鹿取大使の講義には約150人の学生が詰め掛けた。日イ両国の外交史が1958年の国交樹立から今年で55周年を迎え、良好な二国間関係を築いていることを強調。74年に田中角栄首相が来イした際、反日暴動に発展したマラリ事件を教訓に、日本はインドネシアの文化へ理解を深める外交方針を重視するようになったと説明した。
2013年上半期の日本からインドネシアへの投資額が全体の16.2%(23億ドル)を占めるなど政治経済面での関わりは深まり、日イ関係が新たな段階を迎えていると指摘した。
08年に始まった日イの経済連携協定(EPA)でこれまでに看護師・介護福祉士候補者計1048人が派遣され、192人が国家試験に合格。さらに、上半期の訪日インドネシア人観光客数が過去最高の6万5200人を記録したことを伝え、今後は特に両国の人的交流が活発化していくとした。
学生からは鋭い質問が飛んだ。「日本やASEAN(東南アジア諸国連合)各国と領土問題を抱える中国への対応はどうするのか」との質問に、鹿取大使は「日本にとって中国は良き隣人であり、対話を呼び掛けていきたい」と答えた。
■インドネシアの視点も
同講座では佐々木篤氏・国際協力機構(JICA)所長、本岡卓爾ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)理事長ら日本人講師のほかに、ハッサン•ウィラユダ元外相、長期にわたってインドネシアで事業展開するパナソニック・ゴーベル・インドネシアの幹部などが登壇する。
UIの担当者によると、昨年の講師陣は全て日本人だったが、インドネシア側から見た日本への視点を紹介したかったという。今後は日本と産官学各界で活躍するインドネシア人も増やしていく予定。
12月までの4カ月間、全学部生を対象に正規の履修科目として単位認定(3単位)する。(小塩航大、写真も)