適用第1号が決定 60万円台から販売 低燃費・低価格車 トヨタとダイハツ
低燃費・低価格車への優遇税制「低価格グリーン・カー(LCGC)プログラム」の適用第1号となるモデルが9日、発表された。ダイハツの「アイラ」と、ダイハツからOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けるトヨタ「アギア」の2車種でともに排気量1000ccの5人乗り小型車。他社も適用を目指しており、1億ルピア(約88万円)を切る低価格車の新たな市場で各社の競争が激しくなりそうだ。経済の不透明感が高まる中、ルピア安や金利上昇などの逆風を受けながらも、依然堅調に推移している自動車販売をさらに押し上げる効果が期待される。
ダイハツの現地製造法人アストラ・ダイハツ・モーター(ADM)が2車種の生産を担当。8月末に工業省の優遇税制適用が決定し、奢侈品販売税10%が免税となる。今年4月に開所した西ジャワ州のスルヤチプタ工業団地内の新工場で生産し、トヨタにはOEM供給する。
スディルマンADM社長(ダイハツ取締役)によると、現地調達率は84%で、部品サプライヤー145社のうち30社は新規取引先という。
長さ3.6メートルのコンパクトなボディーながら、シート間前後の長さを、中型シティーカーやMPV(多目的車)を上回る91センチまで広げた。国産ブランド名の追加義務などの規定に沿って、アギアは国鳥ガルーダ、アイラは頭文字「A」を象ったエンブレムを採用し、後部には「アストラ」のロゴも入れた。
ADMは同日、アイラの正式販売開始を発表した。3タイプのうち二つでオートマチック車もあり、販売価格は7600万〜1億600万ルピア(約67万〜約93万円)。新規購入者向けとして、まずは月4千台の販売を目指す。
「確実に需要ある」
トヨタの現地販売法人、トヨタ・アストラ・モーター(TAM)も同日、アギアの発売を発表した。デュアル・エアバッグやパワーウインド―などを備え、スポーティーな外装デザインで、新規購入の若年層を中心に、販売目標は年内に1万5千台。3タイプあり、価格幅は9990万〜1億2075万ルピア(約88万〜約106万円)。
TAMの今井栄幸副社長は「ルピア安など短期的には楽観視できる状況ではないが、15年前の通貨危機とは状況が異なっているため、中長期的な懸念は小さい。需要があるのは確実で、車を初めて買う人を中心に着実に販売を伸ばしていきたい」と話した。(上野太郎、赤井俊文、写真も)
■ 低価格グリーン・カー(LCGC)プログラム 製造業の柱となる国内自動車産業の発展を目指し、政府が導入した優遇税制プログラム。条件を満たした乗用車に奢侈品販売税の免税などを講じる。工業大臣令や最先端技術活用主要産業総局長令を通じて、それぞれの部品の現地調達化の義務を詳細に定めたほか、排気量980〜1200cc か、ディーゼル車の場合は1500cc以下でともに燃費が1リットル20キロ以上、最小回転半径が4.6メートル以下などの条件を盛り込んだ。販売価格の上限は9500万ルピア(約83万円)とし、オートマチック車やエアバッグなど追加的な安全技術適用車の場合、それぞれ15%、10%の上乗せが可能。規定により、1年間は価格を据え置く。