貿易赤字 過去最悪 9%下回るも高インフレ 株式市場売り進む 7月貿易と8月物価
中央統計局(BPS)が2日に発表した2013年7月の貿易統計で、単月の貿易赤字が過去最大規模の23億1千万ドルを記録した。同日発表された8月の消費者物価指数(CPI)統計によるインフレ率は前月比1.12%で、大蔵省と中銀の事前予想の「前月比1.2%以上」を下回る水準となった。前年同月比でも8.79%と、補助金付き燃料値上げ(6月下旬)とレバラン(断食月明け大祭=今年は8月)での食料品価格上昇の下で懸念された「9%台」を下回った。ただ、高インフレの状態には変わりなく、不安材料が高まる中で市場では株式の売りが進むなど、景気減速への懸念は払拭されていない。
BPSのスルヤミン局長は、7月の貿易赤字について「過去最大規模に達し、1〜7月累計でも記録的な数値に達した」と指摘。インフレに関しては、7月に比べて減速したことを「政府によるインフレ抑制の効果が、目に見える形で出たことを意味する」と評した。ただし、8月単月としては直近2年と比べて高い水準が続いており、注視が必要とした。1〜8月のインフレ率は7.94%だった。基本食料は前月比1.75%、前年同月比15.12%とレバランの影響が顕著だった。
ハティブ・バスリ蔵相は前月比1.27%の予測を下回ったため、「この調子でインフレが収まれば、9月は例年どおりの沈静化が期待される」とし、中銀と政府はルピア安ながらも続く輸入量増加によるインフレに警戒すべきとの見方を示した。
8月インフレ率について、中銀は前月比1.3%と予測。先月30日には通年インフレ予測を9.0〜9.8%に引き上げていた。
2日の株式市場ではインドネシア証券取引所(IDX)の総合株価指数が終値で前日比2.24%減の4101.233と売りが進んだ。7月の貿易収支が4カ月連続の赤字で、13年1〜7月の累積赤字が56億5千万ドルに上ったことが主因。石油などの内需増で、輸入額が前年同月比6.5%増。輸出額は資源価格下落で同6.1%減だった。
市場関係者は「インフレ率が予想を下回ったこと自体は好材料だが、経常収支に直結する貿易収支での赤字拡大に市場が反応した」。アジア株全体の売りが進む最近の傾向の中でも、2日の市場で株価指数が前日比で2%以上低下したのはインドネシア株のみだった。
対ドルのルピア相場は、銀行間取引の実勢レートで1ドル1万1200〜1万1500ルピアと安値で推移。月初めで輸入決済が一段落したことで、相場は足下では安定している。(赤井俊文)