密航者対策で連携へ 発生、中継、目的の13カ国 外相ら「ジャカルタ宣言」採択

 難民希望など密航者対策について、インドネシアやオーストラリア近隣、南アジアの13カ国の外相らが地域的な取り組みを協議する会合が21日、中央ジャカルタの外務省であり、密航者の出身国や経由、目的地の国が連帯し、発生防止や取り締まりに責任を負うとする「ジャカルタ宣言」を採択した。  
 難民認定希望者の入国が急増する豪州のケビン・ラッド首相(労働党党首)が来イした先月5日、ユドヨノ大統領が関係国を集めた会合の開催を提唱。今回、豪州のボブ・キャリー外相とトニー・バーク移民相のほか、難民認定を希望する出国者が多いアフガニスタンやミャンマー、中継地になるバングラデシュやタイ、マレーシアなどの代表者が出席した。この地域で最大の難民発生国とされるイランは呼び掛けに応じなかった。
 ジャカルタ宣言では、密航は移動経路が複雑で多層的な問題として、関係国が連帯して責任を負う必要性を確認。密航者の警戒活動のほか、難民が発生するような国内状況の改善で、国をまたいだ連携を強化する。入国管理当局や航空関係者の情報共有、国際的な保護が必要ないと判断された入国者に対し、自主的な帰国を促す仕組みづくりなどを進める。宣言に拘束力はない。
 豪州に向かう難民希望者の多くが島伝いに移動し、ボートの遭難事故が相次ぐため、関係国が合同した捜索救命活動の机上演習実施も想定している。
 豪州では、2007年の政権交代以降、労働党政権が難民に寛容な政策をとったことで難民問題が顕在化。来月7日投開票の総選挙を控え、政権批判の材料にもなっていた。同国は最近、豪州に到着した難民希望者の入国を拒絶し、パプアニューギニア国内の施設に移送するなど、強硬策を打ち出している。(道下健弘)

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