銃の取り締まり強化 エアソフトガン157丁押収 国家警察銃撃事件続発で

 警察官やバス停などを狙った銃撃事件が続発している。国家警察は銃規制が不十分として、無許可で販売されている銃やエアソフトガンなどの取り締まりを強化に乗り出した。イスラム過激派によるテロだけでなく、一般の刑事犯罪にも使用されており、密売の監視強化や銃所持者の登録などを厳格化していく方針を示している。
 7月下旬以降、バンテン州南タンゲラン市で2件、警察官が撃たれる事件が続発。タンゲラン県チポンドの高級住宅地では、警視庁の麻薬捜査官の自宅に向け、何者かがエアソフトガンを発砲する事件も起きた。トランスジャカルタ停留所への発砲事件も多発している。
 人権団体コントラスは、2011年から今年までに361件の銃撃事件があり、うち279件が警察関係者を狙った犯行だったと指摘している。
 国家警察は銃規制が不十分との認識を示し、銃の取り締まりや登録を強化する方針を表明。無許可で玩具として販売されているエアソフトガンの摘発を開始した。 
 インドネシアでは一般人の銃所持は認められていない。警察官や軍人、政治家、民間企業の幹部などは警察に申請後、健康・精神状態などの審査を通れば所持が認められている。最近の銃撃事件で多用されているのは低圧のガスや空気を使うエアソフトガン。販売には許可が必要だが、玩具として街中やインターネットでも販売されており、入手が容易になっている。
 警察は無許可で販売されているエアソフトガンの取り締まりを強化。14日だけで、中央ジャカルタのSTCスナヤンと西ジャワ州デポックの販売店4店から、250万〜500万ルピアで、無許可で販売されていたエアソフトガン157丁を押収した。
 警視庁のリクワント報道局長は、エアソフトガンが多数出回り始めたのは最近だと指摘、厳しい規制が必要との認識を示している。
 専門家によると、過去の紛争や密輸により、銃やエアソフトガンが多数流通している。輸入には許可が必要で、エアソフトガンより威力の高いエアガンも密輸されているほか、紛争などに使われた銃も犯行に使われている。
 犯罪学専門家のインドネシア大学(UI)教授、バンバン・ウィドド・ウマル氏は「インドネシアはポソやパプアなど紛争地を抱えるほか、(犯罪に使われる)銃の需要が高まり密輸が盛んになっている」と指摘。早急に銃やエアソフトガンの規制を強化しなければ銃撃事件は続発すると警告した。  (堀之内健史)

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