タクビランで祝う 自己修練乗り越えた
ラマダン(断食月)明けを祝う伝統行事「タクビラン」は7日夜、各地でさまざまな形で実施された。
ロンボク島マタラムでは「モスク神輿(みこし)」が街頭を練り歩いた。トラックの荷台にミニチュアのモスクを飾り、それぞれ美しさや精巧さを競う。神輿を追いかける老若男女の白装束のムスリムは島の伝統的な太鼓を打ち鳴らし、花火を上げて楽しんだ。
マタラムから西岸の観光地スンギギまで、人々は翌朝まで神輿を担いで何度も往復した。神輿は地元の名士、自動車、二輪車のディーラーらが無償で提供する習わしという。島はムスリムのササック人が多数派だが、ヒンドゥー教徒のバリ人も多い。
ジョクジャカルタ特別州バントゥル県パンダクのサビルロシャド・モスクでは、松明の火を振り回してアーチを描く人らが周囲の目を引きつけた。
キリスト教徒が約9割を占める北スラウェシ州マナドでは宗教に関係なくお祭り騒ぎだった。若者をぎゅうぎゅう詰めにした乗り合いバスが軽快な音楽を流して大通りを走った。中にはアンプを搭載し爆音で走る小型トラックも。オジェック運転手のマウリッツ・ポリトンさん(31)は「イスラムのイベントだが、クリスチャンの若者も一緒になってやってる。騒がしいが仲が良くていいじゃないか」と話した。
プロテスタントやカトリックが大多数を占める東ヌサトゥンガラ州スンバ島西部の都市ワイカブバックではムスリムは少数派。夕方ごろから通りで花火を打ち上げる若者が見られたが、街灯も少ない中心街は午前0時ごろには静かになった。
■連休で行楽地混雑
レバラン(断食月明け大祭)の大型連休は各地が行楽客でにぎわった。
バリ州クタビーチには7日ごろから、インドネシア人観光客が押し寄せた。同州ウブドではジャズコンサートなど特別イベントも開かれた。
毎年レバラン後はジャワ島から多数の労働者が流入するとして、両島をつなぐバリ州ギリマヌック港では州警備隊らが警備を強化。同港利用者へ身分証明書の提示を求め、未所持の場合は入港を拒否した。
インド洋に面する西ジャワ州スカブミ県プラブハン・ラトゥには、同州ボゴールなど首都圏を中心に、観光客が詰めかけた。海水浴をしたり、近くの漁港で水揚げされる伊勢エビなど新鮮な魚介類を頬張ったりと、余暇を満喫した。荷台からはみでるほど大勢の人を乗せたトラックやライトバンが行き来し、周辺道路は混雑した。
北ジャカルタ・アンチョール海岸は海水浴をする家族連れやカップルが押し寄せ、身動きが取れないほど。アンチョール公園によると11日昼時点で13万人が訪れたという。
南ジャカルタのラグナン動物園には1日5万人以上が来園。動物のストレス増加に備え、同園は獣医6人を待機させているほか、物を投げるなどしないよう注意している。