きょう公開、関西を舞台 新作映画「ラ・ターザン」 日本での体験もとに 元留学生のノフィさん原作

 日本に留学経験がある通訳業のエルノフィアンティ・ニネさん(39、通称・ノフィ)が日本での体験をつづった短編を映画化した「ラ・ターザン」が2日、ジャカルタなどの映画館で公開される。
 題名の「ラ・ターザン」はアラビア語で「悲しまないで」の意味。2011年に発刊された日本留学経験者による短編集「ラ・ターザン・フォー・スチューデント」に収録されたノフィさんの「プラジャール・ストゥンガ・TKI(半分出稼ぎの学生)」を原作に、アルバイトをしながら、日本で学ぶという夢を叶えたインドネシア人女性の話を、恋愛などの要素を交えて脚本化した。
 ノフィさんは1997年に渡日。静岡の国際ことば学院で日本語を2年間学んだ後、京都精華大、京都大学へ進んだ。「日本の学校は必ずしもすべてがいい学校ばかりではない。少しでも多くの人に現状を知ってもらいたい」と話すように、入国管理局の取り締まりにおびえながら不法就労を続けるインドネシア人など負の部分や、宗教観の違いなども盛り込み、留学生のラブストーリーを超えた作品に仕上がっている。
 主役のフィオナには有名女優のアティカ・ハシホランさん。研修生として日本に渡るハサン役を人気急上昇中のアリオ・バユさんが演じ、今年公開されたハリウッド映画「ワイルド・スピード・ユーロミッション」にも出演したジョー・タスリムさんが日系インドネシア人の山田役を務めた。インドネシアで活動する俳優の鈴木伸幸さんがユーモラスな日本語学校の校長役で登場し、「ジャカルタ音頭」の林延行さんら在留邦人も出演。道頓堀や大阪港、京都の伝統的な街並みや和歌山のみかん畑など関西を舞台に、日本の美しい風景もふんだんに盛り込まれている。
 短編ドキュメンタリーで頭角を現し、今回が初の長編作品となったダニアル・リフキ監督は「作品の80%が日本での撮影。インドネシア人が見た日本がどのようなイメージなのかが分かると思う」と話す。
 昨年、オートバイ事故で亡くなった著名イスラム伝道師のジェフリ・アル・ブフォリさんの曲が起用されていることも話題を呼びそうだ。(上野太郎)

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