「パンク状態」解消を 貨物を空き地に一時保管 タンジュンプリオク港
国内最大の貿易港であるタンジュンプリオク港(北ジャカルタ)の貨物量が取扱能力を大幅に上回る「パンク状態」となっていることを受け、政府は19日、関係閣僚や民間企業を集めて緊急会合を開いた。元々、収容能力を超えた状態が続いていた上、好調な内需を背景に輸入も伸びており、例年取扱量が伸びるレバラン(断食月明け大祭)までの間、港湾内の空き地を活用して、貨物を一時的に保管するという苦肉の策を打ち出した。港湾自体の能力のほか、税関の作業の遅さ、周辺道路の混雑など課題が山積で、物流問題解消にはまだ時間がかかりそうだ。
会合に出席したマヘンドラ・シレガル大蔵副大臣は、地元メディアに対し、「タンジュンプリオク港はすでにボトルネックではなく、ボトルが完全に詰まっているのが現状」と事態の深刻さを指摘。ヤードに長期間置かれたままの貨物が多く、ヤードの貨物占有率が100%を超える状態が続いており、暫定的な対策を講じることで、月末までに80%まで引き下げることを目指すとともに、中長期的な対応の必要性を強調した。
同副大臣は今月初旬、一時的に事務所を同港内に移して状況を調査。通関作業の受付時間の延長を決めたが、すでに通関手続きが終わり、搬出許可が出たにもかかわらず、港湾内の方が保管料が安いとして、そのままになっているケースもあることが判明。また、一部のコンテナを北ジャカルタのマルンダや西ジャワ州のチカランに移すことを検討していたが、「タンジュンプリオク港からマルンダへの近距離移送ですら交通渋滞で困難なことが分かった」として、港湾内の空き地を活用することで一時的な混雑解消を目指すことを決めた。6カ所の候補地があり、早急に対応を進めていく方針だ。
混雑の中長期的な解決策として、インドネシア経営者協会(アピンド)のソフヤン・ワナンディ会長は、日本政府が支援を進める西ジャワ州カラワンのチラマヤでの新港建設を前倒しする必要があると訴えた。
また、タンジュンプリオク港で、決済が主にドル建てであることに対し、ヒダヤット工業相は「ドル建てでの決済はドル需要の引き上げにつながる」として、ルピア建て決済を増やしていく必要性を訴えた。