断食月控え準備 墓参り、食料買い出し
■墓前に献花と祈り
8日夜に政府が決定する予定のラマダン(断食月)入りを控え、ムスリムは墓参りや買い物など準備に追われている。中央ジャカルタ・プジョンポンガンの州営墓地カレット・ビファックは7日、墓参者でにぎわった。
墓地の入り口には100台以上のオートバイが駐車し、周辺の道路は大渋滞。墓地内には、バラやクナンガなどの花びらが入った袋を売る露店が30以上も軒を連ねていた。店主のタンティさん(38)は「今日は特に人が多いね」と話した。
墓参者は親族の墓を囲んで祈りを捧げた。リンティアス・アゲリッパさん(35)は親族15人とコーランの一説を読み上げた後、花びらで墓を彩り水をかける。クナンガの香りが漂っていた。
墓地には祖父や祖母、叔母のほか、心臓発作で亡くなったという27歳の弟が眠っている。祈りを捧げるリンティアスさんの目には涙がたまっていた。ラマダン入り前の墓参りは「亡くなった家族のことを忘れないためだよ」という。
この墓地には先月、ジャカルタ特別州のジョコウィ知事が訪れ、ジャカルタの目抜き通りの名称にも使われている国家英雄モハマッド・フスニ・タムリン氏の墓地に献花した。この日は人気歌手や俳優ら芸能人も訪れた。
■カートに即席麺の山
ショッピングモールは、プアサ(断食)前後用の食料などを買いそろえる市民でごった返した。小売大手カルフールの中央ジャカルタ・ハルモニの店舗では、学校の長期休暇中の子どもと訪れた家族連れがショッピングカートに食料を積み上げていた。
プアサ期間中は毎日、午前3時ごろにサフール(断食前の食事)を取り、昼間は飲食を断つ。午後6時ごろ、ブカ・プアサ(1日の断食明け)の食事をする。
カート2台分の買い物をしたのはジュナエディさん(37)一家。「これはブカ・プアサのための食料だよ」。ジュナエディさんは即席麺「インドミー」が入った段ボール箱を手でたたいて説明した。
子ども3人の5人家族。ほかに砂糖やコーヒー、ゼリー、子ども用ミルクなどが大量にカートに積まれる。この日の買い物の総額は110万ルピアだという。
ジュナエディさんは「飲まない、食べない、欲望を抑えることがプアサ」と話した。(山本康行、写真も)