東北復興の歌、日ASEAN友好の歌 イ学生劇団「en塾」が合唱 ユニット・エイジア公演
日本ASEAN友好協力40周年記念事業として、国際交流基金(ジャパンファンデーション)は4日、中央ジャカルタの劇場タマン・イスマイル・マルズキ(TIM)で、日本や東南アジアのジャズミュージシャン5人が結集した「unit asia(ユニット・エイジア)」の東南アジア巡回公演を開催した。福島県の高校生が作詞した東北の復興を願う歌を、特別参加したインドネシア人学生日本語ミュージカル劇団「en塾」が合唱し、日ASEAN友好への思いを込めた。
会場はユニット・エイジアが奏でるジャズに包まれた。観客はリズムに乗って身体を揺らしたり、手拍子をしたり。日本人3人、タイ、マレーシア各1人の計5人のミュージシャンたちの熱演に引き込まれ、一体となった。
9曲の演奏を終えた後、en塾の団員8人が登場した。東日本大震災からの復興への願いを歌詞に込めた「トゥモロウ・ラブ・ソング」を披露。震災の苦しみを乗り越え「離れてても一人じゃない」「一つになろうよ」と呼びかけ、最後に「さあ歩き出そうよ」「輝く未来に向かって」と力を込める。2番はインドネシア語で歌った。
公演後、en塾のリズさん(22)は、日本人ら海外のミュージシャンと初めて共演し「とても楽しめました」と目を輝かせた。三好功郎さんは「en塾のみなさんとコラボできたことはこの先、とても意味がある。彼らが音楽を楽しんで、その気持ちがお客さんにも伝わっていく。言葉や国籍が違っても、自然と心が寄り添い合うことができる。そんな力を音楽は持っていると思う」とよろこびをかみしめた。
■歌に感謝の気持ち
三好さんは12年以降、東北の被災地各地で歌手森山良子さんらと慰問ライブを開催。トゥモロー・ラブ・ソングは昨年9月、三好さんが作曲した。「震災以降、日本はASEANを含めさまざまな国から支援を受けた。感謝の気持ちを表現したかった」。外務省関係者が日ASEAN友好協力40周年のテーマソングに提案し、歌詞を福島県立安積黎明高校の合唱部に依頼した。
昨年12月、三好さんは音楽機材を携え、安積黎明高校へ。生徒25人と音楽室で一日かけて録音した。「隣の教室では地震で壊れた部分の修繕工事をしていて、何度も『ガタガタ』という音が聞こえた。録音本番は作業員の方にお願いして作業を中断してもらった」と振り返る。
今年1月、ジャカルタで開かれた「日・ASEAN友好協力40周年キックオフ・レセプション」には同校の生徒2人が招待され、インドネシア大学合唱部の学生と合唱した。
ユニット・エイジアはジャカルタ公演後、フィリピンのマニラ、ベトナムのハノイとホーチミンでも公演する。(山本康行、写真も)