違法携帯電話の規制検討 商業相「30%が非正規品」識別番号で遮断も
年間二桁成長を続ける携帯電話市場で、密輸入を通じて流通する非正規品のはん濫を食い止めようと、ギタ・ウィルヤワン商業相は3日、端末識別番号(IMEI)が未登録の携帯電話の使用停止を義務付ける規定を検討する考えを示した。同相は携帯電話産業の企業幹部らと会談し、通信事業会社に協力を要請。「市場は成長しているが、利益が還元されていない。その結果、国内で携帯電話を製造する企業がいなくなってしまう」と危機感を露にした。
商業相によると、インドネシアでは現在、約2億人が携帯電話を保有し、総保有台数は約2億5千万台。うち30%近い7千万台のIMEIが未登録とみている。登録料は50万ルピアのため、国家の損失は35兆ルピア(約3500億円)に上ると指摘。「違法端末は10%の付加価値税も当然支払っておらず、損害は莫大なものになる」と語った。
中央ジャカルタで携帯電話の小売店を経営するジジさん(30)は「違法に売買し利益を出す業者を厳しく取り締まるべきだ。密輸された携帯はバタム島などから来ている可能性がある。末端の小売業者にも利益が配分される仕組みが必要だ」と訴えた。
だが、通信事業会社からはIMEIの識別技術が不足しているとの声が上がる。通信大手インドサットの担当者は「違法な携帯電話を遮断するには、IMEIに対応したハードウェアとソフトウェアをインストールする必要があり、多額の設備投資が強いられる」とIMEIの取り締まりに慎重姿勢を示した。通信情報省のガトット・デワ・ブロト広報官は、実際に遮断措置を実施するまでには最低でも1年の準備期間が必要と説明。「社会的な混乱を防ぐために周知活動を進めなければならない」と話した。
IMEIはすべての携帯電話に個別に割り当てられた識別番号。盗難された場合でも機種を特定し、自動的にネットへのアクセスを遮断することも可能。「*#06#」を押して、番号が出てくれば正規品だ。
今年1〜5月の携帯電話販売登録台数は4千万台。昨年の携帯輸入台数は前年比16%増の5235万台で、今年第1四半期の輸入額は6兆1千億ルピアに達した。(小塩航大、写真も)