区間制運賃、導入順調 乗客は値下げに喜ぶ 首都圏のコミューター線
国鉄子会社のKAIコミューター・ジャボデタベック(KCJ)は1日、首都圏の中級車両(コミューター線)で区間制運賃を導入した。乗車券にICプリペイド式を加え、電子乗車券制度を完全導入。一部では改札口で戸惑う乗客も見られたが、実質的な運賃値下げは好評。滑り出しは順調のようだ。
中央ジャカルタ・スディルマン駅では、七つの改札口で職員と警備員約10人が、乗客の案内に当たった。同駅の利用者は都心部への通勤客が大半を占め、混雑時間帯外の午後2時ごろは混雑もなく、乗客が次々と改札口を通っていく。電子乗車券利用に不慣れなため、改札の自動扉が開かずに困った顔をした乗客も、すぐにカード読み取り部を指し示す職員らの助けを受けた。
ただ、同駅のファロキ駅長は、新運賃体系導入後の混乱の大半は乗客への周知不足が原因として、継続した周知活動が必要と指摘する。西ジャワ州デポックから鉄道を利用した男性は、乗車時に購入した乗車用の金額がスディルマン駅への運賃に足りず、罰金5万ルピアを徴収され、職員に不満を訴えていた。
区間制運賃は、政府が国鉄に支払う公共サービス補助金(PSO)が適用されたため、実質上の大幅な値下げとなった。西ジャワ州デポックからの通勤に鉄道を利用するリサさん(22)は、片道8千ルピアだった運賃が3500ルピアになり、差額を生活費に充てられると笑顔を見せる。西ジャワ州ボゴールへ向かうというティティックさん(58)も「通勤で月25日は鉄道を利用するのでとても助かる」と喜んだ。
燃料値上げの影響で国鉄利用者は増加傾向にあり、駅職員のアレクサンダー・フェブリアンさん(21)によると、同駅の利用客は現在1日当たり1万8千人に達するという。運賃が安いだけでなく、駅構内の整備やサービス向上が今後の乗客増の課題とする国鉄の方針は、乗客の要望にも合うようだ。「車両の空調は故障してばかり。設備が整えば、同僚も車通勤から列車通勤に切り替えると思う」とリサさんは話した。(宮平麻里子、写真も)