区間制運賃きょうから 政府補助金で値下げ 国鉄、首都圏で導入
国鉄子会社のKAIコミューター・ジャボデタベック(KCJ)は1日、首都圏のコミューター線で区間制運賃とカード型IC乗車券を導入する。燃料値上げ後、バスでは自主的に値上げを実施する公共交通機関もある一方、政府補助金を適用した鉄道の区間制運賃は、現行の料金体系からの実質的な値下げとなり、KCJは今後の利用者数の増加を見込んでいる。
新導入の区間制運賃では、乗車駅から5駅目までの初乗り運賃は2千ルピア均一で、3駅通過するごとに500ルピアが加算される。当初は初乗り3千ルピア、3駅通過ごとに1千ルピア加算の予定だったが、政府が国鉄に支払う公共サービス義務補助金(PSO)が適用され、実質的な値下げとなった。
運賃の値下げ効果は長距離路線で特に大きい。ジャカルタ〜ボゴール間の運賃は新運賃体系導入前の片道9千ルピアから片道5千ルピアになる。
KCJのトゥリ・ハンドヨ社長によると、今回のPSO総額は2860億ルピア。空調付きコミューター線とエコノミー線を対象としている。
カード型IC乗車券は、チャージ(入金)で複数回の利用が可能になり、6月1日に1回の乗車限定で導入した電子チケット制度を拡充する。1万3千ルピア分の鉄道運賃が含まれた3万3千ルピアで販売。乗客は首都圏の駅で5千ルピア、1万ルピア、2万ルピア、5万ルピア、10万ルピア、100万ルピアから選んでチャージできる。チャージ後の利用期間は無期限で、長期間使用しなくても、チャージ額が無効になることはない。
KCJ広報担当によると、燃料値上げ実施後、鉄道利用者は増加傾向にあり、現在1日50万人の利用客数を記録。2018年には120万人を目指す。乗客増加を受け、KCJは8月下旬に30車両を追加導入予定。年内に日本から中古列車180車両の購入も計画している。
電子チケットが限定導入された6月以来、現場では、切符購入所や改札での長蛇の列や、乗客や職員への周知不足による混乱が発生していた。駅構内へ出入りする際の電子チケットの読み取りミスなどが今後も混乱の原因となると指摘する地元メディアもあり、KCJは技術的な問題点の解決を引き続き図っていくとしている。