深夜営業短縮を検討 薬物乱用を問題視 首都のナイトクラブなど

 ナイトクラブなど深夜に営業する娯楽施設で禁止薬物の取り引きや使用が横行しているとして、ジャカルタ特別州は施設の営業時間を短縮させる方向で検討に入った。ジョコウィ知事が17日、アグン・ラクソノ公共福祉担当調整相や国家麻薬委員会(BNN)のアナン・イスカンダル委員長、教育文化省、保健省の担当者らを交えた会合後、方針を説明した。営業機会を奪われるとして、業界団体は反発している。
 現行規制では、ナイトクラブやディスコ、カラオケなどの営業は午後2時から翌午前3時までと定めている。地元メディアによると、州政府は段階的に営業時間を短縮させ、最終的には午前1時までとすることを検討している。州文化観光局によると州内には対象施設が1322件ある。
 ジョコウィ知事によるとこの日の会合で、BNNや警察から営業時間短縮が麻薬撲滅に効果があるとの説明を受けたという。具体的な規制内容や施行時期などは今後詰めていく方針。来月上旬からのラマダン(断食月)中の娯楽施設営業規制は例年通りとしている。
 娯楽施設での薬物乱用をめぐっては、昨年1月には、西ジャカルタのディスコで薬物を使用した女が乗用車を運転し、歩行者13人を死傷させる事故が発生。同様に薬物を使った女性ファッションモデルの車が暴走し、警察官らをはねる事件も起きるなど社会問題になっている。ディスコやクラブの中には、ダンスフロアで半ば公然と薬物が取り引きされている店舗があるとの批判も出ている。
 BNN麻薬根絶局のベニー・マモト副局長は「麻薬密売と使用の可能性を減らすことになるため、BNNも取り組みを支援する」と方針を歓迎した。
 一方、インドネシア娯楽産業協会のエイドリアン・マイリテ会長は「午前0時に来店する客もいるが、かれらは犯罪者ではない」と指摘。「行政は施設内での不法行為を監視できても営業時間は規制できない」と反発している。売り上げの減少により、昨年約3兆ルピア(300億円)あった州の税収や雇用にも影響が出るとして、再考を求めている。
 警視庁のリクワント報道局長も、薬物の流通経路は複雑で、使用場所も多岐にわたるとしながらも、娯楽施設の営業時間規制には一定の効果があるとの見方を示し、規制時間を超えて営業する施設の取り締まりも強化する。
 BNNによると、ジャカルタ特別州には違法薬物の常習者が49万人いると見積もっており、全国の州で最も多い。BNNはこのほど、東ジャカルタの専門病院で、常習者が無料診療を受けられる社会復帰プログラムを始めたほか、州政府と連携し、リハビリ施設を増やすことなどを検討している。(道下健弘)

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