石炭の国内活用加速 シェールガス 中国の需要減で 発電向け増やす

 シェールガス革命を背景に、電力燃料の石炭から天然ガスへの世界的なシフトが進む中、インドネシアは石炭の国内消費を加速させる方針を打ち出した。ジェロ・ワチック・エネルギー鉱物資源相はこのほど、国営電力PLNの石炭火力の発電容量を今後7年間で4万メガワット(MW)まで引き上げる計画を表明。国際価格下落が顕著な石炭を国内に回すことで、石炭産業の凋落を押しとどめるとともに、慢性的な問題となっている電力不足の解消に役立てようという狙いだ。

 世界最大の石炭輸入国で、インドネシアの主要輸出先である中国が1キロ当たり4540カロリー以下の低品質石炭の輸入規制を検討していると報じられている。地元メディアによると、同相は中国輸出が減少する可能性について、「もし中国が輸入しないなら、他の需要がある国に輸出すればよい。国内の電力需要が高まれば、国内に供給する」と話し、国内需要を優先させる考えを示した。中国は昨年、34億トンの石炭を消費し、うち2億トンを輸入。インドネシアからは9千万トンを輸入し、うち30%が低品質石炭だった。
 インドネシア政府は2019年までに、石炭火力や地熱などを含む年間発電容量を5万5500MWに設定しており、うち約70%を石炭火力でまかなう計画。昨年の発電容量の内訳は、石油が13.83%、天然ガスが23.18%、再生可能エネルギーが12.11%、石炭が51.40%で、石炭の比率をより高めていくことになる。
 インドネシアではこれまで1万MW増強するメガワット増強計画(クラッシュ・プログラム)を2度にわたり実施。第1次では全量を石炭火力とし、中国企業が集中的に受注したが、資金や技術面のトラブルが目立っていた。14年までの第2次計画では、再生可能エネルギーの活用をうたい、地熱が34%、水力が11%などとなり、石炭は40%まで引き下げていたが、今回、再び石炭利用を加速させる方針を打ち出した。
 日系の資源業界関係者は「2009年をピークに石炭の国際価格が下落し、インドネシアの石炭輸出は採算が取れなくなってきている。今後は米国のシェールガス革命で、米国は石炭の代わりにガスを発電へまわし、石炭を輸出するため国際価格が一層下落するだろう」と背景を説明。「輸出分を国内にまわし電力不足分に充てることは一番現実的な方針。石炭火力は電力需給に対応することための有効な手段だと思う」との見解を示した。(小塩航大)

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