オーダーメイドでお好みに 競争激しく「値上げ難しい」 首都中心部の鏡市場

 中央ジャカルタのプジョンポンガン通り沿いに鏡を売る店が並んでいる。鏡センター(Sentra Cermin)と呼ばれる通りの一角では、軒先に吊るされた鏡が太陽に反射しまぶしく光っている。
 ミッキー・マウスをかたどった手鏡からイスラム装飾の鏡や大型の姿見までさまざまな鏡がところ狭しと並べられている。鏡を吊るした店舗10軒ほどがあり、職人たちが手前の歩道で鏡を研磨し、塗装している。小さい店内には鏡のほかにフレームを塗装する際に使うはけや木を切断する機械などが置かれ、作業部屋となっている。
 雨が降り出すと、職人たちは大急ぎで店内に鏡を移動させた。その横で鏡を見定めていた買い者客と店主との交渉が始まった。
 「予算は150万ルピア。アンティーク風で小さめの鏡20個を1カ月以内に作ってほしい」と買い物客。約10年にわたって通りで店を営むイワン・ワフユディさん(38)は「一つ10万ルピアなら、何とか作ることができる」と応じた。
 価格は約6万ルピア〜200万ルピア。顧客の要望を聞いた上で、職人は値段や鏡の形を決定する。日系のガラスメーカーなどからガラスを買い、顧客の注文に合わせて加工する。
 「ここに来る人の鏡に対する注文は細かい。研磨の度合いや装飾のデザイン、形までこだわりを持っている人が多い。最近は直径2メートルほどの巨大な丸い鏡を作ったよ」と笑顔で話した。
 通りには鏡のフレームを加工する業者の店も数軒立ち並んでおり、鏡店に顧客から注文が入ると業者が加工する仕組みになっている。贈り物などで鏡の需要が増加するレバラン(断食明け大祭)などには、店同士で協力して注文を受け生産する。
 同市場は1990年ごろから営業していた2軒の繁盛ぶりを目にした近隣住民が店を開業し、同時にフレームの加工業者も店を構えるようになったため、店舗数が増加したという。
 雨が降り止むと、買い物客がオーダーメイドの鏡を求めに次々と来店。詳細な注文をノートに書き取り、イメージ図を作成。買い物客とのやり取りが再開した。
 2カ月後に迫ったレバランに向けて多く注文を受注したいというが、イワンさんは「最近のインドネシア経済の高成長に伴い、注文件数も増加したが、価格は上げられない。上げると客がほかの地域の同業者に流れてしまう。地道に注文を取っていくよ」と必ずしも好景気の恩恵を受けているわけではない状況を吐露した。(小塩航大、写真も)

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