公務員をパイロットに 航空業界と政府の思惑一致 運輸省が計画

 インドネシア航空業界が急成長する中、各航空会社でパイロットの人員不足が問題となっている。運輸省は4日、公務員をパイロットとして訓練する計画を明らかにした。英字紙ジャカルタ・グローブが報じた。
 現在のインドネシアのパイロット数は定期運航する16社で約8千人。毎年新たに400人を必要としているが、同省管轄の二つの航空学校の卒業生は毎年約150人に過ぎない。
 一方、中央政府は全国で約460万人の国家公務員数の増加に歯止めを掛けようと削減を目指しており、公務員をパイロットとして養成することで人員不足の緩和を目指す考えだ。
 運輸省の担当者によると、参加希望者は適性検査を通過後、国内の航空学校で18カ月間訓練を受け、基本となる自家用航空機の免許を取得する。
 同省のバンバン・エルファン報道官は「われわれの狙いは商業運航のパイロットよりも、航空指導官を育成すること。現在、学校の教官の数は不十分だが、新規採用はできない。そのため、省内の職員を訓練するのが現実的な選択肢だ」と説明。一方、「素質があり、各航空会社の条件さえ満たせば、卒業生が商業運航のパイロットになるのは可能だ」と述べ、民間航空会社への就職も視野に入れている。
 格安航空会社のライオンエアは先月、欧州の航空機製造大手エアバスに234機を発注し、北スラウェシ州マナドにパイロット養成学校を設置する計画を明らかにするなど旅客者数の増加に対応していく方針。一方、先月13日には、バリ州のングラライ国際空港で小型旅客機が滑走路の50メートル手前の海に突っ込む事故を起こすなど、急速な市場拡大の中で安全性確保に課題を残している。
 国際協力機構(JICA)航空安全政策向上プロジェクトの沖竜嗣専門官は「政府と航空業界の思惑が一致した試み。インドネシアのパイロットは確実に不足している。民間のパイロット養成学校では入学者数が増加し、卒業生を多く出しているが、航空指導官も不足している。長期的な計画で実施し、安全面を確実に教育する必要がある」と話した。
 インドネシアの旅客者数は毎年二桁成長を続け、今年は前年の7900万人から8800万人に増加すると見込まれている。14年までに、インドネシアは世界第9位の航空市場になり、今後もさらに市場拡大する見通しだ。国営ガルーダ航空のプジョブロト副社長によると、航空業界の成長率は、インドネシアの経済成長率の1.5〜2倍に達するという。(小塩航大)

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