石けん作りで就労支援 得意分野を出し合って J2ネット・FLS
邦人ボランティア団体J2ネットは、インドネシアと日本で障害者の就職支援を行う非政府組織(NGO)フルライフサポート(FLS)と協力し、手作り石けんの製作・販売を通じた障害者の就労支援計画を進めている。両団体が互いの得意分野を生かして、長期的に継続可能な支援をする試みだ。
手作り石けんの販売を通してJ2ネットの奨学金支給活動に参加していた福崎令奈さんは、FLSの松田千恵子代表と意気投合し、就労支援計画を立ち上げた。企画はとんとん拍子に進み、J2ネットの堀芳美さんの紹介で、精神・身体障害児の教育・リハビリテーションを行う非営利組織(NPO)の障害児童育成財団(YPAC)の利用者に対し、J2ネットが石けん作り指導を、FLSが就労支援体制の構築・トレーニングを担当すると決めた。
J2ネットのメンバーのほとんどが駐在員夫人たちで入れ替わりが激しく、支援を続けることが課題だったが、FLSと連携することで継続可能になる。FLSは材料費などを先行投資し、石けん販売の利益から製作者への給料を支給。仮に赤字になったとしても、FLSの他事業からの収入で補えるという。FLSにとっても障害者の就労支援が拡大するメリットがある。
19、22の両日には石けん作りを実演した。YPACの職員・利用者に参加してもらい、YPACの利用者が石けんを作れるか判断してもらうためだ。
「クエ(お菓子)みたい」「香りもいいね」。試作品を手に取った参加者約20人の反応は上々だ。YPAC高校部の特殊学級で調理などを教えるヨハナ・スシアナさん(60)は、「指導を続ければ、生徒らもきっと実践できるはず」と笑顔で語った。
数週間後には参加者の中からリーダーを決め、組織体制を作る。その後、日本に帰国した福崎さんから引き継いだJ2ネットメンバーの清水おり恵さんと田熊明子さんの指導の下、石けん作りをトレーニングし、ジャカルタ日本祭りなどでの販売を目指す。
日本人が喜んで買いたいと思えるものを作ってもらいたいとの気持ちから、清水さんらは石けん作り技術に加えて日本人消費者としての意見も提供。ローズマリーなど肌に良い材料を使用し、洗顔にも使えるよう香り付けのオイルの量を抑えた。石けんはインドネシアの土産物屋の多くでも売られているが、清水さんらはそれらと比べても、自信を持って売り出せると話している。(宮平麻里子)