潤滑油工場が稼働 JXエネ 木村会長「アジアに重点」
JX日鉱日石エネルギー(東京都千代田区)の現地製造法人、JX日鉱日石エネルギー・ルブリカンツ・インドネシア(NOLI)社が7日、西ジャワ州ブカシ県チビトゥンの工業団地MM2100内の潤滑油工場の本格稼働に伴い、開所式を開いた。インドネシアで高まる需要に対応するため、現地生産に踏み切った。JX日鉱日石エネルギーの木村康会長(JXホールディングス会長)や池田道雄副社長らが来イ、JXグループは「アジアの内需取り込み」を中期目標に掲げており、その弾みとなる今回の工場稼働に期待を示した。(堀之内健史、写真も)
潤滑油は主に二輪車や自動車向けで日系メーカーを主な供給先とみており、将来的には地場系企業への供給を目指す。JX日鉱日石エネルギーは現在、中国、シンガポールに潤滑油製造の海外拠点がある。8月にはベトナムでの製造販売会社設立を発表、現地生産を加速させており2020年までに現在の年産50万キロリットルから90万キロリットルへの引き上げを目標としている。
JX日鉱日石エネルギーの現地販売法人、ニッポン・オイル・インドネシアによるとインドネシアの年間潤油消費量は70万│80万キロリットルで国営石油・ガス会社プルタミナが半分ほどのシェアを占める。同社の販売量はシンガポールなどからの輸入で約1万キロリットル。新工場の生産能力は年間4万キロリットルで2│3年後のフル稼働を目指す。今後も伸びが確実視される二輪、四輪の潤滑油需要の取り込みを図る。敷地面積は5万平米、建屋面積は1万1千平米、拡張用地として2万平米を残している。
開所式には鹿取克章・駐インドネシア日本大使、小西健二NOLI社長のほか、納入先であるトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア社の野波雅裕社長やヤマハ・インドネシア・モーター・マニュファクチャリング社の鈴木恒司社長が出席した。
■「海外需要取り込む」
JXホールディングスの木村会長は、アジアの内需取り込みに向け、現地生産を進めていく方針を表明。石油製品の日本国内消費は減少し、海外需要はアジアを中心に増加する中、「中国からインドまでのアジア地域にこれからも重点的に投資していく」と述べた。一方で「総合エネルギー企業」として国内のエネルギー多様化の需要にも応えていく方針を示した。
☆新規事業も模索 海外初の給油所も
JX日鉱日石エネルギーは7月、ジャカルタに駐在事務所を立ち上げ、インドネシアでの新規事業を調査している。インドネシアの人口は日本の2倍以上だが、同社によると石油需要は3分の1以下。経済成長に伴う需要増を取り込む構えだ。
事業化を目指すのは主に石油精製事業、ガソリンスタンドでの燃料供給事業、石炭や天然ガスなどの石油に代わるエネルギーの販売事業の調査をしている。石油精製事業ではプルタミナなど石油会社と共同運営を目指す。インドネシアのガソリンスタンド事業は近年、英蘭系のロイヤル・ダッチ・シェル、仏トタル、マレーシア国営ペトロナスが次々と参入しており、「ENEOS(エネオス)」ブランドのガソリンスタンドの初の海外進出を目指している。
またインドネシア政府が進めるエネルギーの多様化にも対応するため、日本で培ったさまざまなエネルギー技術の利用も模索している。調査期間は3年間。その間に事業化することを目標としている。