「第三国の監視必要」 ジョコウィ知事 日本主導のMRTで シンガポールなど関与へ

 首都の都市高速鉄道(MRT)建設事業をめぐり、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)ジャカルタ特別州知事は2日、第三国による事業監視体制を構築する意向を明らかにした。資金調達の大部分は日本の円借款、建設の大部分は日本企業が担う見込みで、日本主導で進む同事業に「待った」をかけた形。第三者の介在を通じ、透明性を確保する狙いとみられる。

 知事は、先月30日にシンガポールを訪問。地元紙などによると、現地でシンガポールや中国のMRT事業関係者らと会談した。帰国したジョコウィ知事は「シンガポールでは、MRT関係者の3、4人にアドバイザーの就任を要請した」と説明し、第三国のアドバイザーを招へいする方針を表明。「MRTの経験がないインドネシアには、計画、実行で日本の支援が必要だが、監視できる人が誰もいない。すべてを同じところで進めることになれば、設計や品質が正しいかを確認することができない」と語り、日本以外の国が参画する必要性を強調した。
 鉄道の建設・運営で世界最高水準の技術を有する日本は、国際協力機構(JICA)を通じ、MRTの計画段階から事業に深く関わってきた。第1期の事業費は約1600億円。日本の円借款供与が決定し、清水建設、大林組などが応札した。受注を目指す建設関連企業もインドネシアに進出している。
 JICAインドネシア事務所の佐々木篤所長は「第三国が関与するという州からの申し出はまだ受けていない。運営会社のMRT社に新しく就任した経営陣と協議を進めていきたい」と話した。
 南北線の第一期工事は、南ジャカルタ・ルバックブルス〜中央ジャカルタ・ホテル・インドネシア(HI)前ロータリー間。総長15・7キロを約30分で結ぶ路線を建設する。高架7駅、地下6駅の計13駅で、一部はインドネシア初の地下鉄になる。
 ジョコウィ知事は、今月中にもMRTを着工させたい意向だが、政府と州の負担比率をめぐる議論で、建設事業者もまだ発表されていない。
 計画当初は昨年内の着工を目指していた。同知事は就任直後の昨年10月、MRT事業の早期着工が必要とする一方で「建設費が高額ならば、再交渉の必要もある」と述べている。(田村慎也)

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