ハラル環境整備に情報発信 ウェブでパンフレット公開 ムスリム観光客受け入れ 日本アセアンセンター

 東南アジア諸国連合(ASEAN)貿易投資観光促進センター(日本アセアンセンター)は1日、ASEANから日本を訪れるムスリム観光客の受け入れ態勢整備を目的に、ホームページでデジタルパンフレットの公開を始めた。旅行会社や飲食店など観光業関係者や地方自治体担当者に向け、基礎的なイスラムの知識から団体客のもてなし事例まで実用的な情報を掲載。インドネシアやマレーシアなどムスリム人口の多い国からの観光客増加が見込まれる中、同センターは自治体でのセミナーと合わせてムスリムへの理解を促す活動に注力していく。

 デジタルパンフレットでは「イスラム教とムスリム」についての基礎的な知識に加え、実際にどのような点をムスリムが気にかけるかを観光客の声として紹介。「ムスリムおもてなし5カ条」では、ムスリムに接客する際の五つの主な注意点を掲載。「ムスリムにも個人差がある」と指摘し、コミュニケーションをとりながら柔軟に配慮することが大切と呼びかけている。
 ムスリム観光客受け入れで特に重要な食事・お祈り・接客はそれぞれ独立した項目を設けて詳述。「おもてなし事例」では旅行会社、宿泊施設、食品製造の三つを挙げた。
 「北国リゾートの工夫」として、スキーリゾートホテルでのハラル食材の仕入れ先や搬入流通経路の確立の苦労話を紹介。「お菓子や缶詰、軽食メニュー」など観光客の要望に素早く対応している。非イスラム圏の日本で各国のハラル認証団体と連携して食品を輸入、製造する会社の事例もある。いずれもビジネスチャンスとして見るだけでなく、信仰や生活習慣の理解を基にムスリム観光客誘致に取り組む姿勢がうかがえる。
■セミナーで回答
 日本アセアンセンターは昨年12月以降、各地でセミナーを開催している。先月25日には、東京都港区の同センター内のアセアンホールで「第2回ASEANからのムスリム観光客受け入れセミナー」を開き、約70人が参加した。
 セミナーは事前に集めた質問に対し、ハラルパンを製造販売する二宮の二宮伸介社長、イスラムのお祈り施設をモールに設置した鈴木靖彦プロッド・イクス千歳アウトレットモール・レラ・マネジメントオフィス副支配人、川畑亜瑠真NPO法人日本ハラール協会研究員の3人のパネリストが回答した。
 「成功談・失敗談」について、二宮氏は「製品包装にアッラーの文字を入れて発売したところ、ムスリムにとってアッラーの文字が入ったものを捨てることができないため、結局文字を消して販売した」と説明。各パネリストのエピソードを交えた回答に、参加者は熱心に耳を傾けていた。
 同センターは3月末に長野県の白馬五竜観光協会、福岡市、今月23日には軽井沢リゾート会議都市推進協議会とセミナーを共催。今年は月に1度のペースで北海道や大阪など地方自治体でセミナーを実施していく。 (赤井俊文)

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