サル痘感染を警戒 シンガポールで確認 入国時に体温検査
保健省は13日、天然痘と同様の症状が出るサル痘の感染者がシンガポールで確認されたことを受け、各地の入国ゲートで体温検査を始めていることを明らかにした。地元メディアが報じた。
シンガポールからの来訪者が多いリアウ諸島州バタム島などの国際フェリー乗船場、リアウ州プカンバル市のスルタン・シャリフ・カシム2世空港などに体温センサー装置を設置。体温が38度以上の乗客が通過すると警報が鳴る。リアウ諸島州保健所は感染者が出た時に備え、州内の病院に特別の治療室と隔離室を設けた。また、バンテン州のスカルノハッタ空港でもシンガポールやアフリカから到着した入国者に対し、体温チェックを行っている。
サル痘感染者はナイジェリア人男性(38)で、シンガポール政府が9日、明らかにした。サル痘の感染は同国では初めて。男性は4月28日にシンガポールに到着、2日後にサル痘の症状があり、感染症センターに隔離されたが、快方に向かっているという。またこの男性と接触した23人も隔離されたという。
ヒトのサル痘は、感染した動物や患者と接触することで感染する。日本の国立感染症研究所によると、1970年にザイール(現コンゴ民主共和国)で初めて報告された。動物は霊長類やリスやネズミなどのげっ歯類などで感染の恐れがある。致死率は1〜10%程度。発熱や発疹などを発症する。
感染例はアフリカ中部、西部が中心で、アフリカ以外での感染例は米国で2003年に71人の患者が出ている。(木許はるみ)