フットサルでトラウマ解消 バルドラール浦安 ロンボク島
7月末から地震が相次いだロンボク島。東ロンボク県スンバルン郡内には、建物内に入るのが怖いとのトラウマを抱える子どもが多くいる。日本のフットサルクラブ「バルドラール浦安」はこのほど、地元クラブなどの協力を得ながら、日本から持参した公式球や昨季まで選手が来ていたユニホームを子どもたちに配布し、一緒にプレーを楽しむ支援活動を展開。参加した子どもの親からは「久しぶりに楽しそうな笑顔を見た」と感謝の声が上がった。
スンバルン郡はリンジャニ山東側に位置し、登山前に滞在する街として知られる。活動が行われた同郡スンバルン・ブンブン村ブバンテは、観光産業が村の4割を占め、他は農家が多い。地震直後よりは安心して暮らせるようになってきたが、今でも余震は1日2、3回ある。
ブバンテでは家屋の半数の180戸が被害を受け、うち80戸は大きく損壊。学校やモスクなど公共施設は全てに被害があり、住民1120人が仮設テントでの生活を続けている。
バルドラール浦安のアジアエリアマネジャーを務める長谷川雅治さん(42)は活動前、「友だちと助け合って地震に負けないで。きょうは私たち日本のチームと(現地の)マタラムFCから選手が2人来てくれた。私たちも友だち。助け合って頑張ろう」とあいさつ。よしもとインドネシア住みます芸人のトリオ芸人「ザ・スリー」の浦圭太郎さんも駆けつけ、少し大きなユニホームを着た子どもたちと白熱の試合を繰り広げた。
白線はなく、ゴールもサンダルを二つ置いて作っただけのつつましい、猫の額ほどのコートだったが「今のは(ゴールに)入った」「俺が決めた!」などの元気な声が、見守る親をも笑顔に変えた。
子どもがフットサルに参加したバトゥル・ラフマンさん(43)は「トラウマのケア活動は週1度はあるが、ボールを蹴って一緒に楽しむような活動は初めて。子どもたちがはつらつと楽しんでいる姿を見せてくれ、とてもうれしい」と感謝した。
千葉県浦安市に本拠を置くバルドラールは、東日本大震災で液状化現象が起きた際に幼稚園などでフットサルやサッカーを子どもたちに教えるなど被災地支援活動を展開してきた。長谷川さんは「フットサルやサッカーでストレスを発散してくれれば」と話す。
活動は9月27、28両日に行われた。現地購入の毛布やビニールシート、絵本なども支援。支援活動を受け入れた日本インドネシア通訳協会もコメや油などを渡した。
バルドラールは、地元ロンボク島のマタラムFCなどに指導者を派遣したり、選手を練習生として受け入れ、2015年から交流を続けている。マタラムFCオーナーのアリヤント・プラムトゥさんは「今後も地元ロンボク島での支援活動を続けていきたい」と協力を歓迎した。(中島昭浩、写真も)