異端派モスクを閉鎖 「強硬派の襲撃回避」 西ジャワブカシ市
西ジャワ州ブカシ市は14日、同市ポンドック・グデのイスラム異端派アフマディヤのアル・ミスバ・モスクを閉鎖した。宗教活動を禁じた市条例や共同大臣令を法的根拠に挙げる市に対し、アフマディヤ信者と人権団体は憲法で保障される宗教の自由に反すると反発している。
モスクを閉鎖した市警備隊の条例維持部長が、駆け付けた内外の記者約30人に閉鎖理由を説明した。国営アンタラ通信のアンディ・フィルダウス記者は「どうして(閉鎖が)今なんだ。理由が不明瞭だ」と疑問符を付ける。
約100人が利用するモスクは1990年に建てられ、アフマディヤ信者と地元住民の関係は良好。市内での宗教活動を禁じる条例が出されても、実際黙認されてきた。モスクから200メートルほど離れた民家の主婦シティ・ホティジアさん(67)は「宗教の名前が違うだけ。何が違うの」と話した。
法律擁護協会(LBH)のユニタ・プルナマ弁護士は「(宗教活動を禁じた)条例は宗教の自由を保障する憲法に反しており、まったく効力がない」と指摘する。信者は15日からも普段どおり礼拝する構え。
アフマディヤのデデン・スジャナ広報担当によると、13日午後8時ごろ、地元警察から「治安を守るため、明日モスクを閉鎖する」と連絡があった。近々郡内にイスラム強硬派団体のイスラム擁護戦線(FPI)の事務所がつくられることを理由に挙げたという。
地元警察は、FPIがアフマディヤ・モスクの閉鎖を計画しているとの情報をつかみ、対立激化を懸念して警備を強化していた。2011年にはバンテン州でFPIによるアフマディヤ信者虐殺事件が起きている。(上松亮介、写真も)