EPA受け入れ事業 第1陣が最後の挑戦 介護福祉士国家試験
介護福祉士の国家試験が27日、日本全国で行われ、2008年に始まった日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士受け入れ事業で日本で働いているインドネシア人候補者184人が試験に臨んだ。2008年に日本へ渡り、昨年、本来の滞在期限を延長した第1陣候補者18人と09年入国の第2陣候補者165人、以前に日本の介護施設で就労経験があった10年入国の第3陣候補者1人が受験。第1陣にとっては、正式な介護福祉士として日本で働くための最後の挑戦となった。合格発表は3月28日。
外国人介護士候補者は4年以内に国家資格を取得しなければ日本で働き続けることができないが、試験を受けるには3年間の実務経験が必要とされていることから、原則的には1回しか受験をすることができない。昨年は08年に日本へ渡った第1陣94人が受験し、35人が合格。合格率が37.2%にとどまったことから、政府は特例で試験の成績上位者に限り、滞在期限の1年延長を認めた。
看護師・介護福祉士の国家試験では共に、外国人受験者の合格率の低迷が続いており、政府はさまざまな改善策を導入している。今回は試験問題のすべての漢字にふりがなをふったほか、外国人の試験時間を通常の210分から1.5倍の315分にした。
海外産業人材育成協会(HIDA)在籍時からインドネシア人看護師・介護士候補者の支援を続けている大谷秀昭さんは、東大阪大学で受験者を激励した。毎年受験できる看護師候補者と違い、4年目で始めて受験をする介護士候補者たちは試験後、疲れた表情を見せていたという。
大谷さんは制度が6年目を迎え、合格して日本で働き始めた人や不合格でインドネシアに帰国した人も増えていることから、「候補者が日本との懸け橋として活躍してもらえるよう、国家試験の後にどのように元候補者たちを支えるかが課題となってくる」との見方を示した。