航空市場拡大 搭乗客は年1割増 LCCもフルサービスも ビジネス客需要に期待感
インドネシア航空会社協会(INACA)はこのほど、年約10%程度の搭乗客の伸びが今後数年間期待できると予測した。格安航空(LCC)部門は昨年、航空市場全体に占める割合が7割に到達。各社は機材の新規調達や発着数を増加させるなどして、中間層を中心とした需要の取り込みに積極的だ。一方、国民所得の向上が進む中、機内サービスなどを充実させたフルサービス部門の需要増加にも期待が高まる。来年にはライオン航空が新たにバティック航空の運航を開始し、ビジネス客需要にも照準を定める。
INACAのエミルシャ・サタル会長(国営ガルーダ・インドネシア航空社長)は28日、LCCの市場規模が来年20%増加すると予測した。
ガルーダ航空は今年8月、2006年から進めていたLCCブランド「シティリンク」を子会社化し、LCC事業を強化していく姿勢を鮮明にしている。東部インドネシア地域の開発気運も高まっており、地場系ライオン航空やマレーシア系エアアジア・インドネシアなど路線拡充に積極的な航空会社も多い。
一方、路線拡充や価格競争などが経営を圧迫している航空会社もある。バタビア航空は今後、赤字路線の運航頻度を減らすことなどを通じ、利益率の向上を目指す。
■伸び率は11%も
格安航空を含めた国内全体の年間搭乗客数も今後5年間は1割近い伸びを維持するとの見方が強く、成長市場としての期待が高まっている。
11年の搭乗客数は、国内線が前年比16%増の6020万人、国際線が23%増の815万人だった。INACAがこのほど明らかにした乗客数の推移予測によると、国内線は15年に9137万人、国際線は1232万人まで増加する。平均すると年約11%伸びることになり、ここ数年に比べて減速感はあるものの、航空市場の活況は続くとの見方が大勢だ。
■両部門とも強化へ
経済成長に伴う国民所得の向上が進む中、機内サービスなどを充実させたフルサービス部門の需要増加も見込まれている。
ライオン航空は来年から、同社のフルサービス部門としてバティック航空の運航を開始する予定。航空機10機体制でマナドをハブ都市として位置づけ、14年にはマナド発のマニラやソウル、東京便を就航する見込みだ。
同航空を経営するライオン・ムンタリ・エアラインズ社のエドワード・シライット取締役は「今後は格安航空市場の毎年3―5%がフルサービス部門に取り込まれていくだろう」と予測。ビジネス客需要の増加も見越し、両部門の強化を並行して進める方針だ。