与党連合の強化に動く大統領 バクティアル准教授 インドネシア大学大学院

 世界最大の直接選挙が2月14日に行われた。前回の2019年と同様、大統領選と総選挙(国会議員選、州・県・市議会選、地方代表議会選)が同時実施されたため、膨大なスケールになった。
 総人口2億7870万人。有権者数2億481万人。この中でミレニアル世代の有権者数は6682万人で、全国に設置された投票所は82万161カ所だった。開票作業など選挙に関わった関係者数は574万人。ノルウェーの総人口(547万人)を超えた。
 総選挙委員会(KPU=中央選管)による公式結果は遅くとも20日までに発表される予定だが、投票当日に複数の世論調査会社や報道機関が独自集計した速報値や出口調査によると、大統領選に出馬した3組のうちプラボウォ・ギブラン組がおよそ58%の得票率で圧勝した。
 一方、18政党が参加した国会議員選は、9政党が国会議席取得条件である得票率4%を満たした。与党・闘争民主党(PDIP)の得票率は16%台で次期国会でも第一党になる見通しだが、グリンドラ党のプラボウォ党首が次期大統領になるため、闘争民主党のハスト書記長は下野する可能性も指摘している。
 一方、大統領選でプラボウォ・ギブラン組を擁立したのは、グリンドラ、ゴルカル、国民信託、民主の4政党で、これら4党の議席率は計約44%。過半数に満たない。
 そのため、プラボウォ次期大統領の政権運営・国会対策に不可欠なのが、これら4党以外の党を与党連合に取り込むことだ。
 ジョコウィ大統領は2月18日、ナスデム党のスルヤ党首と大統領宮殿で1時間ほど会談した。具体的な会談内容は明らかにされていないが、ナスデム党の政治家がプラボウォ内閣に入閣する可能性を示唆し、与党連合に取り込むことが狙いだったのではないか。
 ナスデム党が加わると、与党連合の国会議席率は約54%になる。同党が大統領選で支援したアニス氏は無所属なため、ナスデム党は同氏との関係を維持したまま、プラボウォ内閣に加わることは十分に可能だ。
 プラボウォ政権を支える与党連合の強化にジョコウィ大統領が動き始めていることは間違いない。(原文日本語)=寄稿

 バクティアル・アラム
インドネシア大学大学院准教授、アジアコンサルト・アソシエーツ代表。インドネシア大・米ハーバード大学院卒。16年旭日小綬章を受章。

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