来年5月にイ事務所 日本政府観光局が開設へ 訪日数、世界一の伸び 若年層ムスリムに注目
日本政府観光局(JNTO)が来年5月にインドネシア事務所を開設する予定であることが1日、分かった。シンガポール事務所の足立基成所長がじゃかるた新聞の取材に対し、明らかにした。東日本大震災前の2010年比でインドネシア人の訪日数は世界で最も高い伸び率を示しており、観光促進の加速に力を入れる。これまでに重点を置いていた華人の富裕層に加え、ムスリムの若年層世代の観光客取り込みも狙う。(岡坂泰寛、写真も)
インドネシアは今年度から日本政府が進めている訪日促進事業「ビジットジャパン」の対象国となっており、新たに事務所を開設することで観光促進を加速させたい考え。
JNTOはこれまで、シンガポールを拠点にインドネシアでの日本観光の促進事業を行っていた。足立所長は「(先月30日の)ジャカルタ日本祭りで、日本に目が向いている若いムスリムにたくさん出会った。そういった肌感覚を持てることはとても重要だ」と事務所開設に意欲を示した。
足立所長は「まずは旅行代理店やホテルなど両国の民・民の関係者同士をしっかりとつなぐことが重要」と強調。インドネシアの潜在的な旅行需要の獲得に向けて、「消費者への直接的な売り込みも先陣を切ってやりたい」と語った。
■イで商談会を初主催
JNTOは同日、現地旅行代理店の関係者らを対象にした観光セミナーと商談会をジャカルタで開催。同局がインドネシアで観光セミナーを主催するのは初。九州や中部地域、大阪の担当者が地域観光を売り込んだほか、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)や宿泊施設の運営業者などがブースを出展した。参加団体数は26団体に上り、シンガポールでの観光セミナーに匹敵する規模。
足立所長は、日本国内の旅行産業が縮小化しており、東南アジア市場への地方自治体の注目度が高まっていると指摘。「来年以降はさらに(参加団体が増えることが)期待できる」と話した。来年3月にインドネシア航空券発券業者組合(ASTINDO)が主催する観光フェア前後にも観光セミナーを開催する。
JNTOが先月発表した8月の訪日外客数の推計値によると、今年1―8月に訪日したインドネシア人は6万3800人で、東日本大震災前の2010年比で47.7%増と世界で最も高い伸び率を記録した。今年1―8月の全世界からの訪日数は588万人で、2010年同期比で3.7%減となっている。
■大阪がスラバヤ商談会
大阪市と大阪観光コンベンション協会は3日、東ジャワ州スラバヤのプラザホテルで地域観光を売り込むセミナーと商談会を開く。大阪がジャカルタ外で売り込みを実施するのは初。