着物に合う和柄ヒジャブ登場 京都、奈良 ムスリム観光客にレンタル

 着物とヒジャブをおしゃれに着こなす——。そんな楽しみ方が、日本を訪れるムスリムの外国人観光客の間で広まりつつある。京都市の着物レンタル会社は、2月上旬から和柄ヒジャブのレンタルを開始。数日後に問い合わせが入り、3月に予約も入った。ヒジャブでファッションを楽しむ、ムスリムへの市場拡大を狙う。 

 京都着物レンタル夢館(京都市)は、和柄のヒジャブを約20種類とりそろえる。3月ごろには約50種類に増やす計画だ。1月下旬に和柄ヒジャブを発表すると、ツイッターなどのSNSで拡散された。
 同店では近年、インドネシアやマレーシア、中東からのムスリムの客が増加。「どうやって着物とヒジャブを合わせますか」「和柄のヒジャブはありませんか」と客から問い合わせが増え、商品化に至った。
 製作は、インドネシア人スタッフのシャナス・ダフニさん(25)を中心に行った。
 シャナスさんはこれまで、来日するインドネシア女性らから問い合わせがあると、「帯とヒジャブの色を合わせれば、ばっちり」「柄オン柄になるので、ヒジャブは1色のものを」とアドバイスをしていた。
 今回は着物の端切れや中古の着物を使い、試作を重ねた。着物の厚い生地との相性を考え、ヒジャブの形を通常の四角形から三角形にして、かさばらないよう工夫した。
 シャナスさんは「最近では、和柄のヒジャブを売っているお店があって、購入しているお客さんも見る」と話す。奈良県では、数年前から和柄ヒジャブのレンタル・販売をしている店もあるという。
 「着物は手と足しか露出せず、首元にヒジャブを入れれば、首も隠れて、襟も見える」と、イスラム教との相性を指摘するシャナスさん。「インドネシアでは、5年くらい前から、ヒジャブとおしゃれを楽しむ人たちが増えてきた。(着物に限らず)コスプレとヒジャブを組み合わせる人もいる」
 今は夏に向けて、浴衣のヒジャブも開発中。「レースをつけたヒジャブも考えています」(シャナさん)とアイデアを明かした。
 日本政府観光局によると、インドネシアからの訪日客は、2017年に35万人を突破、3年前の倍以上に増加。マレーシアからも同年約44万人が訪日した。同店をはじめ、着物レンタル店では、礼拝スペースの設置や、ハラルの食事ができる店の案内図配布などのムスリム対応が進んでいるという。(木許はるみ)

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