グラブに10億ドル出資 トヨタ 各種サービスで協業
トヨタ自動車は13日、オンライン配車サービスのグラブに10億ドルの出資をすると発表した。同業のウーバーから事業譲渡を受けて、グラブがインドネシアを除く各国で圧倒的なシェアを持つ東南アジアでモビリティサービス領域での協業を進める。
IoT(モノのインターネット)関連事業への対応を進める中、トヨタはすでにシンガポールのグラブのレンタカー全車両に対し、走行データと連動した自動車保険を提供するなど、協業を進めてきた。出資により、走行データを活用した運行管理システムや金融、メンテナンスサービスなどで事業を拡大させていきたい考えだ。車両の開発についても検討していくもよう。グラブに取締役と執行役員を1人ずつ派遣し、人材交流も進める。
グラブは東南アジア8カ国217都市で、ライドシェアや配車、レンタカーサービスなどを展開しているが、インドネシアでは競合のゴジェックと利用者数で競り合っている。
トヨタ関係者は協業が「自動車販売台数が多く、配車利用者も多いインドネシア市場への影響も出てくる」と話し、別の商社幹部は「グラブがトヨタと組むことはインドネシアで大きなシェアを持ち、タイ、フィリピン、シンガポール、ベトナムの4カ国でも事業を始めるゴジェックとの競争の中での差別化という点で、大きな意義が出てくる」と語る。
グラブとトヨタの協業については、同グループの豊田通商が2017年8月に投資や市場開拓に向けて設立したファンドを通じて出資している。(平野慧)