捜索108日目に捕獲 リアウ州 住民襲った野生トラ
リアウ州インドラギリ・ヒリル県で1〜3月に住民2人を襲い殺した野生のスマトラトラが20日、108日におよぶ「捕獲作戦」の末に生け捕りにされた。
捕獲されたのは「ボニタ」と名付けられた推定4歳のメスで、2016年12月ごろから同県の集落やアブラヤシ農園に出没するようになった。
18年1月3日、アブラヤシ農園で働く女性(33)がかみ殺されたことを受け、同州自然資源保全センター(BBKSDA)や軍、警察、世界自然保護基金(WWF)などからなる捜索チームが発足、ボニタ捕獲に乗り出した。
さらに3月には建設作業員の男性(34)が首元をかまれて死亡。箱形のわなを仕掛けるなど本格的な捕獲作戦を展開していたが、なかなか成果が出ず、付近の小学校が休校になるなど住民生活に支障が出ていた。
同チームによると、20日朝、同県のアブラヤシ農園に現れたボニタに向けてチームが麻酔銃を撃ち、捕獲に成功。ボニタの腹部からは小さな腫瘍が見つかり、22日午後に摘出手術に成功したという。現在、西スマトラ州ダルマスラヤ県のスマトラトラ・リハビリセンターで保護されている。
環境林業省によると、スマトラトラはスマトラ島に約400頭が生息し、うち約190頭がリアウ州にいる。ボニタが集落周辺に出没するようになった背景には、生息地である森林の破壊が指摘されている。
同チームが21日に開いた記者会見で、環境林業省のウィラント氏は「ボニタは捕獲されたが、(同様の問題が)再発しないよう監視を続けていきたい」と話した。(木村綾)