ウーバー営業終了 オンライン配車 運転手75%はグラブへ
オンライン配車サービスのグラブによる米ウーバー・テクノロジーズの東南アジア事業買収に伴い、ウーバーのインドネシア国内でのサービスが9日に終了、グラブに一本化された。ウーバー運転手の75%超はグラブへと移行した。利用者からは、競合サービスに比べ、最安の運賃設定や手厚いサービスを提供していたウーバーを惜しむ声が聞かれた。
日付が9日に変わってからウーバーのアプリを開き、配車のため目的地を入力すると、画面には「ご利用の地域ではウーバーは使用できません」の文言。米グーグルのグーグルマップで目的地までの経路案内タブに表示されていたウーバーの選択肢もなくなった。
最低でも週に1度はウーバーを利用していた大手建設会社勤務のアンドレ・リヤンさん(39)は「ウーバーはルートによって運賃が変動することがあった。多く払いすぎたかなと思って問い合わせると、再計算し返金に応じてくれるなど、一番サービスが良かった」と振り返った。
2009年創立のウーバーは、14年8月にインドネシアに参入。直近の国内基本運賃1キロ当たり千ルピアは、グラブと地場系ゴジェックの同1500ルピアよりも安く、乗客を引き寄せる一因となった。一方で、運転手の取り分は75%と3社中最も割合が低かったため、グラブやゴジェックへの登録を終えた運転手らは、収入増や新たなシステムへの期待感を示した。
ゴジェックへの登録手続きを済ませた南ジャカルタ区ルバックブルス在住の大学生アルフィン・スリインさん(22)は「ゴジェックは運転手への評価が厳しいと聞くが、これまでの倍の月収300万ルピアを目指したい」と意気込む。
グラブへの登録を終えたビル清掃員アフマッド・ユスフさん(37)は「グラブへ移行するようメールが届いた時は驚いた。ウーバーのアプリは注文を受けても目的地が表示されず、乗客と会って初めて目的地が分かったが、グラブは最初から分かる」と語った。
地元メディアで「ウーバー難民」と報道されるウーバーの運転手は、6日までに75%がグラブへと移行。グラブ・インドネシアは14日まで登録作業を続ける。ゴジェックも当初の9日から11日まで登録期間を延長した。
グラブは3月26日、ウーバーの東南アジア事業を買収する代わりに、ウーバーがグラブの株式27.5%を取得すると発表。インドネシアの公正取引委員会に当たる事業競争監視委員会(KPPU)は9日、寡占状態になる恐れがあるなどとして9日以降も事業統合を延期させたシンガポールやフィリピンを引き合いに、運賃を過剰に値上げしないようグラブに伝え、国内でも監視する方針を示した。(中島昭浩、写真も)