竹製自転車の販売で 東バリ貧困撲滅 プロジェクト 雇用を創出
中央ジャカルタの国際展示場(JIエキスポ)で開催中の自動車や鉄道関連の展示会「INAPA」で22日、バリ島東部でコミュニティー支援を行う非営利団体(NPO)東バリ貧困撲滅プロジェクト(EBPP)のブースに人だかりができていた。並んでいるのは竹製フレームを使った自転車。EBPP代表のデビッド・ブースさん(69)が「美しいでしょう?」と話しかけてきた。
ぬくもりが感じられる竹製フレームは光沢があり、高級感もある。加工や組み立てなど、一部の部品以外は全てハンドメード。
地元で採れ、成長が早く丈夫な竹を活用して雇用を生み出そうと、EBPPは2016年から製造を始めた。現在9人いるという職人は皆、アグン山北西に位置する麓の村々の出身だ。
シティーバイク(約1100万ルピア)とマウンテンバイク(約1千万ルピア)の2種類を販売する。ブースさんによると、購入するのは「自転車愛好家かお金持ち、もしくは環境保護に熱心な人」という。
17年から代理店などでの販売を本格化させた。展示会出展は初めてで、「もっと人に知ってもらわなければと急きょ出展を決めた。ディスプレーを制作したり、飛行機で自転車3台を運び大変だった」と話す。
300枚用意したパンフレットは初日の22日に大半がはけ、翌23日にはマウンテンバイク1台の注文が入った。反響の良さに「スタッフはみんな驚いている」とブースさんは話す。
英国出身のブースさんは、大学卒業後エンジニアとして働いた後、1989年にジャカルタ特別州に移住。93年に拠点をバリ東部に移し、98年、EBPPの前身となる団体を立ち上げた。移住について「私自身イングランドの貧しい家の出身。自分が好きだと思う人々のいる国を見つけ、そこで貧しい人を助けることに人生をささげようと決めた」と話す。
「(観光資源となる)美しい棚田も川もないこの地は経済発展から取り残されていた。教育も水も栄養もなく、貧困がはびこっていた」と振り返る。地域に点在する19の村をつなぐ道路を整備し、その後水の供給などを進めた。こうした活動が評価され、2004年には大英帝国勲章(MBE)が授与された。
竹製自転車について、「インフラや教育状況が改善した今、若者にはビジネスが必要だ。地元の竹を使った環境に優しい自転車の製造販売で、貧困改善につなげたい」と話した。(坂田優菜、写真も)