運転手登録厳格化を ブディ運輸相 配車タクシー事件増加で
ブディ・カルヤ・スマディ運輸相は21日、グラブなどのオンライン配車サービスを利用したタクシーに絡む殺人・暴行事件が頻発しているとして、運営各社に対し、運転手の登録プロセスを厳格化するよう求めた。22日付日刊紙コンパスが報じた。
ブディ運輸相は「公共交通機関での乗客の安心と安全を向上するよう運輸省陸運総局に指示した。運営事業者は運転手を雇用する際、身分証明や経歴などに注意を払うとともに、利用者からの苦情には早急に対応するように」とくぎを刺した。
ルディアンタラ通信情報相は、運輸省と協力し構築を進めている車両や運転手などの運行情報監視システムが25日にも完成するとの見通しを示した。
一方で、ブディ運輸相は運行している車両に関して、各地の警察と運輸局に現場での監視強化も呼びかけた。
■ここ1年で6件
オンライン配車サービスを利用したタクシーの乗客、または運転手が暴行や殺人事件に遭うケースが、ここ1年で少なくとも6件発生している。
直近では18日、中央ジャカルタ区のホテルから南ジャカルタ区テベットのハリスホテルまでの送迎をオーダーした、結婚業者マーケティング担当のユン・シスカ・ロハニさん(29)が絞殺された。警察は20日、西ジャワ州ボゴール県西部タジュール・ハランに住む運転手のファドリ・ニザル・ヒムバ(32)と事件当時、車に同乗していた双子の弟ファフミ・イドリス・ヒムバ(32)両容疑者を、強盗と計画殺人などの容疑で逮捕した。
調べでは、18日午前2時20分ごろ、シスカさんを車に乗せた後、目的地へは向かわず、ジャゴラウィ高速道路34キロ地点の休憩所に連れていき、小刀で脅しながら身代金2千万ルピア(約15万円)を送金させるよう家族や友人に電話させたが送金がなく、激高したファフミ容疑者が首を絞めて殺害した疑い。遺体は、ボゴール県チビノンの住宅地グリヤ・アスリ・チビノンの茂みに遺棄された。
■乗客も確認を
事件頻発を受け、警察は乗客に対し、オーダー画面に出てくる運転手の顔と実際に迎えに来た運転手の顔に差異がないか確認する▽運転手以外の人が車内にいないか確認する▽ナンバープレートがオーダー画面と一致するか確認する――の3点の確認を呼びかけている。運転手が襲われるケースもあり、オーダーした人以外の乗客がいないか確認する▽乗客が多数の場合は注意する▽目的地が人気のない場所なら注文を受けない――などと運転手に注意を求めた。
乗客と運転手の安全をめぐっては、オンライン四輪タクシーに関する運輸大臣令(2017年108号)の細則の適用が、運転手側の相次ぐデモや最高裁判所への提訴で遅れ、中ぶらりんの状態が続いている。
インドネシア消費者協会(YLKI)のトゥルス・アバディ会長は同紙に「(運転手らは同令で規定されている)車検や免許の取得、車体への識別ステッカー貼付を拒否している」と述べ、運転手を守るための最低限のサービス基準(SPM)に当たる項目の取り下げを自ら求めていると指摘した。(中島昭浩)