開場後に演奏会中止 日本人40人参加の楽団 東ジャワ州警 許可を問題視
東ジャワ州スラバヤ市警は14日、許認可に不備があるとして、日本の非営利団体(NPO)法人「ワールドシップ」が同市内の文化施設で開く予定だった「日イ・フレンドシップ合同コンサート」を中止させた。日本から約40人の演奏者が参加し、地元のオーケストラや伝統楽器などと共演するチャリティーイベントで、当日の開場後に異例の措置を講じた。国営アンタラ通信などが伝えた。
14日のコンサートは、同州観光局が運営する東ジャワ文化公園(タマン・ブダヤ・ジャワ・ティムール)内のホール「チャック・ドゥラシム」で、午後7時に開演する予定だった。ステージにはすでに楽器や椅子などが並べられ、観客も入場していた。
東ジャワ州警によると、会場がある同市グントゥン地区の地元警察署には許可が申請されていたが、市警や州警には連絡がなく、公演の情報が伝わっていなかったという。フランス・バルン・マングラ州警報道官は「コンサート開催の際には、市・州警での許可も必要なため取り締まった」と説明している。
一方、現地でコーディネーターを務めていたスティアワン・ナナンさんは14日、地元メディアに対し「市と州警察からの許可が必要なことをたった今知ったばかりだ」と話した。
ワールドシップは、海外の子どもたちに、楽器演奏などオーケストラの体験を届けるため、プロジェクトごとに日本でメンバーを募り、期間限定のオーケストラを結成。
インドネシアでは2016年以降、東ジャワ州マランとスラバヤで演奏し、17年3月には今回と同じ会場で公演、同年8月のコンサートにはスラバヤ市のリスマ市長も会場に駆けつけ、地元紙に大きく取り上げられるなど注目を集めていた。他にもタイやカンボジア、フィリピンでも同様の活動を続けている。
今回、日本の演奏者らは9日、スラバヤ入りした。10日にはコンサートの共演者とリハーサルを実施。11〜13日には地元の学校を訪問し、楽器紹介や演奏活動などを行った。
14日の公演のチケット料金は無料で、使用可能な古着の寄付を呼びかけるチャリティーコンサートとしていたという。クラシック曲のほか、竹楽器アンクルンや木琴コリンタンなどインドネシアの伝統楽器を交えた現地の民謡の演奏や、同市内にある学校ナショナル・スター・アカデミーや地元の演奏団体との共演が予定されていた。(毛利春香)