16年間で15万頭減少 ボルネオ・オランウータン 森林伐採などで半減
カリマンタン島(ボルネオ島)に生息するボルネオ・オランウータンの頭数が1999〜2015年の16年間で約15万頭減少したとする研究結果が、15日付の米科学誌カレント・バイオロジーに発表された。パーム油や紙パルプ生産などに伴う森林伐採、生息地の破壊、狩猟が原因で、調査前と比べて半減したという。
発表者はドイツや英国の研究チーム。カリマンタン島の生息域38エリアを対象に調査を実施し、個体や巣の密度、群れの数などを基に個体の減少数や生息数を推計、比較した。
個体数が比較的多いシュワナー山脈西部、同山脈東部、東カリマンタン州東クタイ県カランガン郡周辺の場合、16年間の減少数はそれぞれ42700頭、20100頭、8200頭。これら3エリアの減少数は計71000頭で、16年前の生息数計13万7200頭から52%減少した。
減少数の約7割は、人が手を加えていない森林や一部が伐採された森林に生息する個体だったため、狩猟が減少の大きな要因の一つと示した。
現状が続けば、森林伐採の影響だけでも50年までにカリマンタン島全体で4万5300頭がさらに減少すると予測している。
また、確認された群れは64あり、うち100匹以上がいる群れは38という。
ボルネオ・オランウータンは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに含まれ、近絶滅種に登録されている。レッドリストによると、1973年の生息数は28万8500匹だった。(上村夏美)