「リトル大阪」を開発 飲食・サービス業の受け皿に 南ジャカルタ区ファトマワティ
南ジャカルタ区チランダックのファトマワティ病院通りで、複合商業施設「リトル大阪・フード・タウン(通称ロフト)」の開発が進められている。1日には日本人監修の野菜や魚の生鮮食品スーパーなどがソフトオープン。カフェやスポーツバーなども入居し、飲食・サービス業の新たな受け皿となることを目指す。
ロフトは、日本人が多数入居するブミマス・アパートに隣接する。ルコ(住居付き店舗)が並ぶ「ファトマワティ・マス」の一角にある5階建てルコ5棟分を改修した。
日本食品スーパー「じゃかるた市場」や飲食店、レンタルオフィスなど全10店舗からなる。家族連れや女性でも気軽に訪れ楽むことができる場所をコンセプトに、北ジャカルタ区パンタイ・インダ・カプックから移転した「鎌倉カフェ」やシミュレーション・ゴルフができるスポーツバーも出店している。
開発を進めるのは、ブロックMを中心に数々の日系飲食店を手掛け、草の根文化交流イベント「リトル東京ブロックM縁日祭」の発起人も務めた食のベテランたち。「リトル東京」に続く「リトル大阪」には、家族連れなどにも楽しんでもらえるエリアにしたいとの思いを込めた。
ロフトの谷本孝弘社長は「ブロックMでは縁日祭などの取り組みをしてきたが、どうしても夜のイメージが払拭(ふっしょく)できない。ブロックMで実現できなかった、家族連れや女性1人でも訪れやすい複合的な場所にしたい」と意気込む。
背景にはブロックMの苦境もある。大量高速鉄道(MRT)が着工した2013年ごろから渋滞が悪化し、客足が遠のいた。そこへ店舗賃料の高騰が追い打ちを掛ける。ブロックMのある飲食店経営者は「銀行やホテルが払うような額。飲食やサービス業の投資環境ではなくなってきている」と話す。年間賃料が6億ルピアになる物件もあるという。
一方で、ロフトや周辺の賃料はブロックMの約3分の1。日本人居住地域の南下も考慮し、他店舗進出や複合施設としての発展を見据え、周囲に空き店舗のある場所を選んだ。ソフトオープンの知らせを聞いた日系大手ファミリーカラオケ店から、早くも5〜6部屋規模での出店の打診を受けたという。
ブロックMでの経験からは、日本人客だけでなくインドネシア人客をつかむことが成功の秘訣(ひけつ)と学んだ。ロフトでは来客者比率を日本人とインドネシア人それぞれ5割にする目標を掲げ、盆踊りなどのイベント開催や商品価格にも反映させる。
また、ロフトとブロックMとの共存も掲げる。ブロックMの縁日祭も継続する。ロフトのゴルフバーで打ちっ放しをして一杯ビールを飲んだ後、ブロックMに移動して飲み会を開くといった両エリアでの相乗効果も期待する。谷本社長は「切磋琢磨(せっさたくま)するから人が集まってくる。今後、入居店舗の競合店に出てきてほしい」と呼びかけた。(中島昭浩、写真も)