津波避難タワーを建設 バンダアチェ 大震災で被災の日本企業

 2004年12月のスマトラ沖地震・津波で甚大な被害を受けたアチェ州都のバンダアチェ市で21日、建材総合メーカーの日鉄住金建材(本社・東京都江東区)が開発した「津波避難タワー」の完成式が開かれた。同社は11年の東日本大震災で仙台製造所(仙台市宮城野区)が被災。12年以降は仙台を皮切りに津波避難タワーを日本国内で建設してきた。海外での設置は初めて。
 同社は、バンダアチェ市と防災局、同市で防災研究などに取り組んでいるシャークアラ大学、地元の鉄骨加工業者と協力。企業の社会的責任(CSR)活動の一環として、タワーの柱に使用した高強度角形鋼管の提供や設計などを支援した。
 完成したタワーは屋上付きの3階建てで、高さは約14メートル。収容可能な人数は約500人。高い耐震性があり、浸水が予想される1階部分は波圧を逃がすため壁を設けていない。さらに障害者らも素早く避難できるようスロープも備えた。
 設置場所は、海岸線から数キロ内陸にある防災、消防両局の合同事務所敷地内で、避難ルートの途中にあある。
 完成式には、日鉄住金建材の中川智章社長、同市のアミヌラ・ウスマン市長ら関係者が出席した。同日には避難訓練も実施され、地元の子どもたちが参加した。
 津波避難タワーは、同社が長年培ってきた耐震鋼構造の設計技術・ノウハウや、高強度の柱用材料をはじめとする構造用鋼材の製造技術を生かして開発された。日本ではすでに35基が完工済み。(毛利春香)

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