技能検定制度の自立を 日本政府支援開始から11年
製造業を下支えする技能検定制度で、日本式の実技課題が2006年、国家認定試験として導入されたインドネシア。16年までに約1800人が国家試験に合格する中、急務となっているのは、試験官の技量を見極めて資格認定する「評価者」の育成だ。これまでは日本政府の支援で派遣された日本人らが評価者を務め、検定の信頼性を担保してきたが、支援開始から既に11年。インドネシア人評価者育成による制度の「独り立ち」が求められている。
インドネシアでは、日本式の技能、検定、訓練方法のノウハウを移転する「技能評価検定システム移転促進事業(SESPP、厚生労働省主管)」の支援を受けながら、機械検査職種▽金型仕上げ▽整備保全▽フライス盤作業▽研削盤作業▽プラスチック(樹脂)成形▽金属プレス加工——の7種(1〜3級)で国家試験が行われてきた。
試験の実施主体は、国家職業訓練認可庁(BNSP)と金型産業振興を支援するインドネシア金型工業会(IMDIA)、日系・現地企業らが集まった国家技能認定実施委員会。
実技(日本式)と学科(インドネシア式)があり、16年までに2924人が受験して1759人が合格、BNSPから認定書を交付された。
これら国家試験合格者の中から、評価者となり得る人材を選抜、認定するのは国家技能認定実施委員会とBNSP。資格審査を経て、3級が3年半、2級は4年の講習期間を設け、これまでに評価者53人が認定を受けた。直近では、西ジャワ州ブカシ県チカランのジャバベカ内にある日系企業KMKプラスティックス・インドネシアで11月14〜17日、プラスチック成形2級の評価者認定が行われ、10月には平面研削盤2級の評価者認定も開かれた。
今後の課題としては、1級の評価制度導入が未実現なことや、2、3級の認定書発行問題などがあり、IMDIAの谷川逸夫事務局長は「厚生労働省からは事業(SESPP)の継続が難しいと言われている。早期に評価認定者を育成し、インドネシアだけで評価者講習ができるようにしなければならない」と話す。
SESPPは、製造業分野の日本企業が多数進出、または進出が予想されるタイやベトナム、ミャンマー、インド、カンボジア、ラオスでも実施されている。(毛利春香)