民泊サイト規制を要求 ホテル業界 未納税で課税検討へ
住宅の空き部屋などを宿泊施設として貸し出す民泊仲介サイト最大手のエアビーエヌビー(Airbnb、本社・米サンフランシスコ)などが、既存ホテル業界の反発を受けている。登録しているコス(下宿)やアパートメントの運営者が空き部屋をホテルのように貸し出すケースがあるほか、企業も貸主(ホスト)も納税対象になっておらず、政府は課税に向けた法整備を検討している。
インドネシア・ホテル・レストラン協会(PHRI)は、ビジネスホテルのようにエア社のサービスを活用するアパートが、既存ホテルの脅威になっているとの懸念を表明。サービスの遮断を通信情報省に要求した。経営者協会(アピンド)会長も務めるPHRIのハリヤディ・スカムダニ会長は29日、エア社のホストに対する徴税方法がないため、既存のホテルとの競争は平等でないと批判した。
通信情報省は観光文化省などと対策を協議。サービスの遮断に関しては「遮断でなく法規制していく」(ルディアンタラ通信情報相)との見解を示した。
エア社は2008年に創業。部屋の所有者がホストとしてサービスに登録して宿泊料金を設定することで、自宅や所有物件の空き部屋を有効活用できると一気に拡大。アメニティーなど独自の基準をクリアした「出張対応」物件に認定バッジを付与するなど、法人ニーズにも対応。ウェブサイトとスマホなどの携帯端末から利用できる。
12年にシンガポールに支社を開き、タイやマレーシアと共にインドネシアでのサービスを拡大。インドネシアの物件数は当初約1800件だったが、ことし11月時点で約4万3千件まで増加した。南ジャカルタ区スティアブティの中間層向けコスのオーナーは、15年のオープン後に登録したが「利用者が多すぎたので、エア社からの予約はもう受け付けていない」と話した。
サイトには、バリ島の物件でおしゃれなロッジなどもあり、地域文化の特色を生かした宿泊施設に安く手軽に宿泊できるとの理由で、中間層からの支持が厚い。ジャカルタでは、キッチンや洗濯機を完備したサービスアパートを1泊から貸し出している物件もあり、条件によってはホテルよりも安価に宿泊できる。
同社によると、国内のことし1〜11月の売上は約1兆1500億ルピア。1ホストあたりの収入は同期間で平均2840万ルピア。同社へのコミッション料はこのうち3%。
しかし、インドネシアの支社は設立しておらず、法人税を納めていない。ホストが企業として所得税30%を支払う制度が整えば税収増につながる。財務省税務総局は年末に公表を予定している電子商取引(EC)事業者への課税案に、エア社などの民泊仲介業者も含める方針を示した。(中島昭浩)