避難解除で住民帰宅 バリ島アグン山 4万人は依然待機
バリ島カランアセム県にあるアグン山の噴火警戒レベルが最高の「アワス(避難準備)」から、上から2番目の「シアガ(警戒)」に引き下げられたことを受け30日、避難民は帰宅し始めた。避難区域は火口の半径12キロから6〜7.5キロ圏内へ縮小されたが、4万7700人が依然として避難を余儀なくされる。
国家防災庁(BNPB)のストポ・ヌグロホ報道官によると、同島クルンクン県ではバス5台、トラック3台を用意し、避難していた住民の帰宅を支援している。ストポ氏は「火山活動は低下している。数万人が帰宅できるだろう」と説明した。
9月22日から37日間にわたり最高の噴火警戒レベルが発令され、29日時点で避難者数は約13万3400人、バリ州内の385カ所で避難生活を送っている。
火山地質災害対策局(PVMBG)によると29日に観測された火山性地震は、浅い場所で44回、深い場所で63回だった。
バリでは210日周期のウク暦に沿って祝うバリ・ヒンドゥーの祭礼「ガルンガン」を11月1日に迎えるため、急いで自宅へ戻る避難者も多い。避難区域に住んでいるにもかかわらず、噴火を警戒し、祭礼が終わった後にまた避難先に戻る予定の住民もいるという。
ガルンガンは世の中のダルマ(善)がアダルマ(悪)に打ち勝ったことを祝い、地上に舞い戻る先祖の霊を迎える日で、日本の「迎え盆」にあたる。避難所が設けられているクルンクン県ではガルンガンを祝えるよう、豚肉などの寄付が集まっているという。
一方、ブワナ・ギリ▽スブディ▽ブサキ▽ジュングタン▽ドゥク▽バン——の6村では避難勧告が継続され、立ち入りが規制されており、4万7700人が帰宅できない。
また西ヌサトゥンガラ州ロンボク島マタラム市の災害対策局(BPBD)によると、42世帯164人の避難者がおり、同州政府が支援している。(毛利春香)