未成年の少女を登録 宗教婚あっせんサイト 創設者を逮捕
警視庁は24日、宗教婚あっせんを売り物にするウェブサイトに少女(14)らを登録し、未成年や女性からの搾取を助長したとして、サイト運営者のアリス・ワフユディ容疑者(49)をポルノ規制、情報・電子取引(ITE)両法違反の疑いで逮捕した。同サイトは即日、通信情報省が閉鎖した。
調べでは、同サイトの名称は「ニカシリ・コム」。未成年や若い女性との宗教婚をあっせんして金銭を要求するサービス内容で、性的表現を含むコンテンツも配信した疑い。
逮捕現場になった西ジャワ州ブカシ市の同容疑者宅からは、売上金とみられる現金500万ルピアやノートパソコン、携帯電話、公式Tシャツなどが押収された。逮捕時、同容疑者は抵抗しなかったという。
同サイトは19日にサービスを開始したばかりだが、5日後の24日までに約2700人が登録手続きを済ませた。表向きの登録条件は17歳以上の男女で、登録時に10万ルピアを支払う。登録希望者には、医師の診断や伝統儀式参加を義務づけていたという。
結婚相手を探す側は、サイト内でのみ使えるコインを1枚10万ルピアで購入して、好みの異性が提示する200〜300コイン分の金額を支払うと宗教上の夫婦になれる仕組み。コインの枚数は交渉可能で、支払額の8割は結婚相手、残り2割がアリス容疑者に入る仕組み。
同容疑者はサービス発表時、「生活の苦しい農家が子どもを登録すると数百万ルピアを手にできる。田や家畜を購入できる」と低所得者層にアピールしていた。
宗教婚に絡む犯行について、イスラム学者会議(MUI)のザイヌト・タフヒッド・サアディ副議長は25日、「行政機関への婚姻届け出をせずに済む宗教婚を悪用した商売。女性や子どもの生活や遺産相続の権利にも悪影響がある」との声明を出した。さらに、同サイトの宗教婚は、イスラムに則さない「ハラム」と断じた。
2006年に出た宗教見解(ファトワ)によると、正式な宗教婚には、花嫁側の合意、花嫁の後見人と男性証人2人、結納金に当たる結婚金などが必要。
地元メディアによると、アリス容疑者は西ジャワ州バンドン市のバンドン工科大学(ITB)を卒業後、英国に留学。15年にゴジェックやウーバーに似たライドシェアリングサービスを立ち上げ最高経営責任者(CEO)に就任したとされる。(中島昭浩)