「最高」に引き上げ 火口半径12キロ内に避難勧告 バリ島アグン山 噴火警戒レベル
火山地質災害対策局(PVMBG)は22日午後8時半(現地時間)、バリ島カランアセム県のアグン山(3031メートル)の噴火警戒レベルを最高の「アワス(避難準備)」に引き上げた。火口から半径9キロ以内と、北、北東、南東、南〜南西側各12キロ以内への立ち入りを規制し、避難勧告を出した。
国家防災庁(BNPB)によると、火山活動が活発化し、22日午前0時から正午にかけて、浅い場所で58回、深い場所で318回の火山性地震を確認した。まだ噴火はしていない。
BNPBや災害対策局(BPBD)、各自治体は、避難勧告を出している地域で安全な場所などの周知活動を開始。22日午後1時までに9421人が避難した。クルンクン県スウェチャ・スポーツ施設には数千人が集まっている。
噴火警戒レベルは14日、「ノーマル(通常)」から上から3番目の「ワスパダ(注意)」に、18日に同2番目の「シアガ(警戒)」に引き上げられたばかり。
PVMBGは、アグン山が最後に噴火した1963年当時も短期間で警戒レベルが引き上げられており、今回も予兆が酷似していると指摘。ジョクジャカルタ特別州・中部ジャワ州のムラピ山と異なり、アグン山の噴火による火砕流の到達範囲は10キロを超え、山麓広域に被害が及び、1100人が死亡する大惨事となったとして警戒を強めている。
情報が錯綜(さくそう)し、バリ島観光の安全性を不安視する声も出ていることを受け、BNPBは22日に声明で「バリ島の観光は安全。危険がある場合には、政府がすぐに警戒情報を出す」と強調。タナロット寺院やバリサファリ&マリンパーク、サヌール海岸、クタ海岸、ヌサペニダ島などの主要観光地を挙げ、「(火山活動による)直接的な影響はない」と説明した。
22日午後3時現在、火口から約7キロのバリ・ヒンドゥーの総本山、ブサキ寺院は通常通り開放し、観光客も訪れているという。(木村綾)