人工島の管理権譲渡 中央政府 州が公共施設整備へ

政府は20日、ジャカルタ湾に造成中の人工島17島のうち、環境団体や漁業団体が埋め立てに反対し、工事が昨年から中断されていたC、D両島の管理権を、ジャカルタ特別州政府に与えた。造成推進派の州政府に対し、政府が開発のゴーサインを出した形。これを受け、州政府は2島に漁村や公共施設を整備する方針を示している。

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が20日、計17の土地使用権や管理権を州政府に与えた。この中にC、D両島の管理権が含まれていた。
 人工島はジャカルタ湾を埋め立てて17島を造成する計画で、州政府が大手不動産などに事業許可を発行した。C、D両島は、北ジャカルタ区パンタイ・インダ・カプックの北沖に位置し、大手不動産アグン・スダユ・グループの子会社、カプック・ナガ・インダ社が開発を進めていた。
 しかし、昨年開発許可をめぐる汚職事件が発覚すると反対運動が活発化。人工島造成による漁業や海底への影響を懸念した環境団体や漁業団体と、アホック前知事率いる州政府との間で対立が起きた。特に、ムアラアンケ漁港(ジャカルタ漁港)沖のG島は、漁船の航路や送電用の海底パイプラインなどに影響が生じるとして、環境団体らが州政府を提訴。これを受け、環境林業省は昨年5月、C、D、Gの3島の造成事業の一時中断を命じた。
 G島は、昨年10月の行政裁二審で造成を認める判決が下り、最高裁は今月11日、環境団体らの上告を棄却した。
 今回、C、D両島の管理権が与えられたことで、ジャロット・ジャカルタ特別州知事は20日、島の3〜4割に、漁村や公園、スポーツ施設などの公共施設を整備したい考えを示している。
 同州のサエフラ地方官房長も、両島に漁港や漁民用の低価格集合住宅、魚市場などを整備する計画を明らかにしており、反対派の漁民にもメリットを示すことで、円滑に開発を進めたい考えとみられる。
 また、C、D両島はスカルノハッタ空港から6キロの距離にあり、開発業者は両島と空港を結ぶ道路をバンテン州タンゲラン県ダダップに建設する計画だ。
 だが、人工島造成を推進してきたアホック前知事が宗教冒とく罪で収監され、その意志を引き継いできたジャロット知事は間もなく任期を終える。10月に後任知事に就任するアニス・バスウェダン氏は選挙中の公約で、人工島開発の中止を掲げており、計画の先行きは不透明だ。
 人工島事業の今後について、アニス氏の就任準備チームの代表を務めるスディルマン・サイド前エネルギー鉱物資源相は20日、コンパスコムに対し「アニス氏の就任後、ジャロット知事や大統領など、関係者から話を聞き、あらゆる側面から調査する」と話している。(木村綾)

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