2030年に世界4位へ 経済規模 麻薬・テロ対策で協調 ASEAN 50周年を祝う
東南アジア諸国連合(ASEAN)50周年を祝う記念式典が11日、南ジャカルタのASEAN事務所で開かれた。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領やASEANのレ・ルオン・ミン事務局長らが出席。加盟各国が良好な協力関係を維持し、経済統合・成長を目指すことを確認し、麻薬撲滅やテロ対策で協力を呼びかけた。
ジョコウィ大統領は「ASEAN50周年おめでとう」と祝い、「ASEANは50年間、兄弟愛の精神のもと手と手を取り合ってきた。これからも平和と安定性を維持し、共に繁栄して行けるよう共に歩を進めよう」と述べた。
経済面では、世界経済フォーラム(WEF)の2017年の調査で、ASEANの経済規模は世界6位、20年には5位に浮上するとの予測を踏まえ、「30年までには欧州連合(EU)、米国、中国に次ぐ世界第4位の経済圏になるだろう」と予想した。
世界の多くの国や地域が問題解決に力を誇示し合っているが、ASEANは対話と交渉で解決を図ってきたと指摘。経済統合について悲観論が広がる中、ASEAN諸国は域内だけでなく、域外とも統合を進めていると強調した。
しかし一方で、治安面で試練にも直面しているとし、ASEANへの影響力増強を狙う大国が競合する中、ASEANは大国の利益のためではなく自ら未来を決めていかなければならないと説明した。「大企業だけでなく、中小企業、農民、漁民、インフォーマルセクター、すべてのASEAN市民に恩恵をもたらさなければならない」と訴えた。
一方で、国境を越えた犯罪の防止に言及。「将来に貢献する若い世代を損なう」として、ASEAN域内での麻薬撲滅への協力を訴えた。また、過激派組織イスラミック・ステート(IS)信奉者に占拠されたフィリピン南部ミンダナオ島西部マラウィに触れ、「共にテロの脅威と戦わなければならない」と呼びかけた。
ASEANは1967年8月8日、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポールの5カ国が設立。現在10カ国が加盟し、総人口6億2千万を超える。2015年末にはASEAN経済共同体(AEC)が発足した。
ことしの議長国はフィリピンで、5日に開かれたASEAN外相会議では、北朝鮮への対応や南シナ海問題などについて話し合った。(毛利春香、写真も)